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2011年08月13日(土)


■たくさん読んだので、読書日記

・北方版『水滸伝』、読了。
5巻、15巻がハイライト。16巻以降は続編に当たる『楊令伝』への布石になっていて、いやそこはきちんとヨセ(囲碁用語)なくっちゃと少々不満が。まあでも超エンタテイメントで楽しい読書体験だった。物語の中心になる林沖のキャラがよかった。

・『守り人シリーズ』読了。
最後の『天と地の守り人』は最初ッから最後まで、胃が痛くなるような苦しい展開。これ、大団円じゃないよね…。巻末の県談で引き合いに出されているけど、トールキンのアラゴルンとチャグムはやっぱり違っていて、王(帝)であることと、普通のひとであることは(タイトルそのものでもあるけど)どうしても引き裂かれていて、描かれない未来も辛い道だとおもう。それにしても、このシリーズはやっぱりバルサが最高です。

・『春にして君を離れ』
初アガサ・クリスティ。ちょっとびっくり。描かれている時代は彼女の生きていた時代と一緒だから、文化とか生活様式とかは昔の話なのだけど、テーマ、ストーリーテリング、冷徹なそれでいて、真っ直ぐなまなざし。この小説はミステリではないので、という理由で別名義で書かれたものだけど、どうかするとミステリよりもスリリングで恐ろしい。ぶるぶる。でもキーワードはずばり、勇気。

・『ナショナル・ストーリー・プロジェクト』
オースター編集の、投稿された短い文章を集めたもの。奇想天外な話もあるけれど、事実であること、という条件つきだそう。いろいろな立場から描かれたアメリカ。いや、アメリカというより、わたしたちの営みそのものかも。特に動物篇が面白い。ひとつめの物語は、5回ぐらい読んで、……!みたいな(笑) どこか懐かしく、それでいて新鮮な物語が詰まってました。