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――――辺りには天井から落ちる雫と、時折吹き抜ける大きな風鳴りの音しかない。 その雫の音も最初は少々気に障ったものだが、一箇所に安定を決め気を集中していれば、 その一定のリズムが心地よくもなり、またそれを越えれば全く耳に入らなくもなる。
自分は今ラテーヌ高原の地下に存在するオルデール鍾乳洞に居る。 この鍾乳洞の奥に潜む変種のモルボルに会いに来たのだ。 オルデール卿が発見し、その詳細な地図を記したことから卿の名がついたとか。 内部の構造は人の内臓器官に似ているとの話だが、元来方向音痴に自分にはそんなことを気にする余裕もなく、 地図と、周りの様子を頼りに苦労しながら奥へ奥へ進んだ。 途中、モルボルは数体見たのだが変種体と呼ぶには足りない大きさ。天晶堂のVolaが求めるものはもっと巨大なのだろう。 そして、聞き及んだ噂やあらかじめ入手していた情報と照らし合わせ、 ここの主、変種モルボルが出没するという広場までやってきた。 くねった道を進んだ先に広がる一際大きい空間。いかにも主が現れそうな場所である。 キャンプを張り、一晩明かすも何も現れる気配はない。気の短い自分はそれ以上待つことが出来なくなり、 その時はそれでここを後にした。それ以来、何度か訪れては数日過ごしてみるのだが、主には出会えず。
主の変種モルボルから見事そのつるを奪うことに成功すれば、一人前のモンクの証である帯を与えられるという。 帯をえるのに必要な条件はこれだけでなく、ヌエの牙、ドードーの皮が必要である。 その2つはそれほど苦労することなく手に入れることが出来たが、最後のこれだけは簡単にはいかないようだ。 中には、帯を得て闇市場に流す不心得者もいるとか。しかし、そうやって手に入れたのでは Volaを裏切ることになるし、何よりもその帯は本物ではないだろう。 修行の一環なのである。
今回は以前までの準備とは違い、長期間滞在できるように本格的な準備をしてきた。 数日などの期間ではそうそう拝めないのだろう。中には20日も篭っていた者もいるとか。 自分もそれに習い、25日程度維持できる準備を整え、本格的に主に会うつもりでやってきた。
キャンプ位置を決め、静かに待つ。ただひたすら待つ。以前までは、うろうろしたり、落ち着きがない時もあったが、 頭から25日丸まる過ごしてやろうと覚悟を決めたので変な焦りはなく、むしろ妙に落ち着いてもいる。 胡坐を組み、静かに前方を見据えて瞑想にふける。今までの修行の事を思い出す良い機会だ。 タルタルでモンクという、他の種族から見れば体格差で向いていないと良く言われてきたのだが、 いままでソレを跳ね除けてやってきたのだ。苦労は多いかもしれないが、やれば必ず出来るはず。
日々瞑想をして過ごした18日目、軽い地面の振動を感じその方向へ出かけて見る。 すると石筍の影に鍾乳洞の主、モルボルガーの姿があった! 遂に、遂にあいま見えることが出来た!セスタスを握りなおし、その巨大な影に向かって突っ切っていく・・!
溜めていた気を爆発させて勝負は一瞬で決まった。 左右の打撃で怯み、隙だらけの触手による薙ぎ払いにあわせて双竜脚を一閃。 強烈な回し蹴りがその触手を捕らえ、断裂させたのだ。 モルボルガーはそこで戦意をなくしたか、ずるずると後退を始めた。 こちらとしても、もうついた勝負にこれ以上の深追いは必要ない。 それに、勝利の証としての触手も目の前に転がっている。 その径の一際大きいつるを苦労してジュノまで持ち帰り、天晶堂のVolaの目の前に突きつける。 Vola「フン・・・・・・。少々貴様を見くびっていたらしいな。よかろう、茶帯を与える。 これを腰に巻くときにはこの度の試練を思い出すがいい。」 そういって、奥から持ってきた茶帯を自分の手に握らせた。 これが、憧れつづけ夢にまでみた茶帯。これで一人前のモンクを名乗ってもいいだろう・・・ Vola「いつかどこかで貴様と拳を交える時があったら、お互い遠慮なくやりたいものだ。そう思わんか?」 その問いかけにニヤリとしてみせ、天晶堂を後にした。
MSS
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