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2012年12月31日(月) 「007 スカイフォール」


※ネタバレしてますよ!







お、面白かった…!端的に言って大の男二人(しかも現スパイと元スパイ)が老女を巡って熱いバトルを繰り広げるというものすごい映画でした。マニアックにもほどがある。だって今回のボンドガールはどう見てもMですよね。一応若手の女優さんも出てるけどお色気シーンが終わったらあからさまに使い捨てだし、それと対照的にMのヒロインっぷりは一貫していた。引き際まで。
つうかハビバルさん演ずる悪役シルヴァがツボすぎてもう…!何か巨大な組織を従えてる風で知的だけど気味悪さMAX、女も簡単に殺す非情ぶりを見せつけて登場したくせに実は切な系マザコン野郎というオチに愛しさがこみ上げました。ママのためにいっしょうけんめい頑張ったのに誉めてもらえないどころか逆におしおきされちゃったボクの哀しい復讐劇ですよ。なのに恨まれてるM本人はシルヴァをたいして覚えてないばかりか、「彼は勝手に行動して中国側に目をつけられた。だから切ったの」と一言で説明終了。
何それシルヴァかわいそうすぎる…!
もっと因縁めいた確執があるのかと思ったよ!二人だけの深い事情とか!!!
そんな不憫なシルヴァですが、あれだけの資金やQをもてあそぶほどの頭脳や技術を持ちながらいざボンドとMを追い詰めるときはド派手にヘリで乗り付けてポイポイ手榴弾を投げ込んでいくという無骨な力技(……)。しかもようやくMと対峙して一体どんな残虐な復讐に及ぶのかと思ったら、すがりついて「一緒に死のう引き金を引いてくれ」って…えええそれが目的?それでいいの???最後までママを独り占めしたいだけのダメな子じゃないか…愛しい…!

シルヴァの萌え語りは尽きませんが映画としても面白かったです。とても様式美にあふれた構成だった。テーマは世代交代。古いものを尊重し007の伝統を守りつつもシリーズをリニューアルする姿勢が貫かれています。世界名所巡り、カーチェイス、ハラハラアクション、(脈絡なく始まる)美女とのラブシーンなど各種お約束を踏襲し、また荒唐無稽なハイテクガジェットも出てこないしボンドカーに至ってはここに来てあえてアストンマーチン。時代遅れなスパイなど存在する意味があるのか?と糾弾されていたその時その場所にシルヴァが乗り込んできたことでMの正しさは証明され、最後に役立つのは昔ながらの武器だと差し出されたナイフがあったからこそシルヴァにとどめを刺せた。古風なものには意味がある、だから軽んじてはならない。しかしそれでも結果的にMは死に、時代に即してMI6の人員は一新されたのです。スパイ映画なのに敵の目的がテロでも世界征服でもなく純粋な私怨であるあたりも(間抜けと言ってしまえばそれまでですが)ある種時代の反映かもしれません、いやまじで。ともあれ新たな007の幕開けであることが強調される中、ラストでMの遺品としてブルドッグの置物がボンドに手渡されるエピソードは象徴的。ボンドは「どうでもいいものが残る」などとニヒルに嘯いていたけども、不屈の精神と忠誠はリニューアルされても変わることなく引き継がれました。

で!で!新たなMがレイフですよびっくりー!そういう役割で出てきたと思ってなかったし(だいたいジュディMがあんなことになるとは夢にも思わず…)レイフ演ずるマロリーという人は話が進んでもいまひとつ立ち位置不明というか、登場が早かったわりにMI6にとって敵なのか味方なのかはっきりしない感じだったから、最後はほんと驚きでした。久々まともなスーツ姿ってだけでテンション上がってたのにこれからシリーズ通して出演してくれるのかと思うと感無量だわ…なんせ最近のレイフといえばハリポタのヴォルデモートだの冥界の王ハデス(@タイタン)だの、人外役ばっかだったからね!スーツどころではない。
ダニエル・クレイグはボンドとしてはちょっと甘さ控え目な気もしますが、普通にかっこよくてたまにちょっとかわいくて私は好きです。でも今回はやはりシルヴァ役ハビバルさんの怪演に全て持って行かれた気がする(笑)。似合わない金髪といいねっとりした喋り方といいインパクト抜群でした。それでクレイグとレイフ、クレイグとハビエル、っていう組み合わせでスクリーンに一緒にうつってるのがまた絵的に豪華というか、ああ大作を観てるんだなーとしみじみ。
それからオープニングが凝ってて素敵だったー。アデルの主題歌も哀愁ある感じで今回の007にぴったりだったと思います。2012年映画締めくくりにふさわしいエンターテイメントでした。



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007 スカイフォール
【SKYFALL】

2012年 イギリス・アメリカ / 日本公開 2012年
監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、ジュディ・デンチ、レイフ・ファインズ、
(劇場鑑賞)


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