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2004年02月14日(土) |
「トーク・トゥ・ハー」 |
※ ネタバレしてます。内容知りたくない方は下の■■■まで飛ばしてください。
独特のオーラを発している映画でした。侮れない秀作です。ただ、私自身がよく消化できてないというか、観ていて引き込まれ非常に圧倒されるものがあったのにその素晴らしさを自分の言葉で上手く説明できない、そこがもどかしくて悔しいです。苦手だ、愛の話は(笑)。
シリアス一辺倒なのかと思って観てればいきなりあんな露骨なサイレント映画を挿入したりして(笑)、監督一体どこまで本気なんだ!と言いたくなる絶妙なバランス感覚。それでいて脚本にはまるで隙がなく、場面配置がきっちり計算されている。例えばあのサイレント映画によってその後のベニグノの行為がイノセントに近づくわけだし、…ってこれじゃ抽象的か、つまりなんていうかなあ、彼の愛が征服欲めいた単純な性欲とは一線を画するものだというふうに観る者に自然に思わせる(これには母親の介護→死という前設定もかなり効いてる)、また、リディアが死の運命を辿ることで対照的にアリシアの目覚めがベニグノの献身的介護(あるいはその後の妊娠)に起因するもののように思わせる(本来まったく因果関係はないはずなのに)、こういう、そうと気付かせずに観客を誘導する巧妙さがほとんど神業的なのね。ベニグノがアリシアと出会って、アリシアが眠りについて、今度はベニグノとマルコが出会って、マルコがリディアに出会って、リディアが眠りについて、…と繰り返して最後にマルコがアリシアと出会う、その辺の出逢いと別れ(死をも含めた)が折り重なる全体の構造も見事だと思いました。
あとは映像が美しいです。眠る女性の存在感といい、闘牛士コスチュームに身を包んだリディアの凛々しさといい、実際映画の中で動き回って話を転がすのは二人の男の方なのに印象に残るのはあくまで女性、この話の主役はあくまで女なんだなあ。監督が男性だということを強く意識させられたというか、色んな意味で女性には撮れない作品だということを感じました。
■■■(ネタバレ終わり)■■■
ところでこの作品、全国のTOHOシネマズで先週までやっていた「セレクト2003」で観ました。過去の話題作をプレミアスクリーンで、しかも1000円均一で観られるという太っ腹企画。初めて知った私は、プレミアなのに千円って!すごいお得じゃない?!とか大興奮でみぃ♪さんに話したりしてたのですが(笑)、これ毎年やってるんだそうですね。(みぃ♪さん色々ありがとう〜) プレミアスクリーンは初体験でしたが非常に快適でしたよ。ほんとは「パルプ・フィクション」が観たいと思ってたんだけどこっちはなんとなく見逃しちゃったんだよね〜。無念!
あと、前から一度食べてみたくて仕方なかったヴァージンサンデー(←これもみぃさんから聞いた)も念願叶ってこの日にゲット!やった〜!悲願達成!(大げさ) あのヴァージン仕様のキャラメルポップコーンの上にソフトクリームがかかっているという、甘党の私にはたまらない一品でございます。美味しかったー。また食べよう。
****** トーク・トゥ・ハー 【HABLE CON ELLA】
2002年 スペイン / 日本公開:2003年 監督:ペドロ・アルモドバル 出演:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、 ロサリオ・フローレス、レオノール・ワトリング (劇場鑑賞)
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