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二年くらい前に「ソダーバーグが『セックスと嘘とビデオテープ』の続編を撮る気らしい!」というまことしやかな噂があって(→参考1→参考2)、ならばひょっとして十余年の時を経てジェームズ・スペイダー召還か?!と我々ファンは色めき立ったものですが(笑)、それってどうやらこの映画のことだったらしいですね。もちろん実際には続編なんかじゃなくて(だからジェームズ・スペイダーも出てません<当たり前だ…)、監督自身「今『セ・嘘・ビ』を撮れば『フル・フロンタル』になっていただろう」と語っているという、ただそれだけのことでしたが。
ということで、本作は“ソダーバーグ原点回帰”と銘打ったインディ系狙いの作品です。ハリウッドのある大物プロデューサーの40歳の誕生パーティ当日を描いた群像劇。彼の新作に関わった人々それぞれが繰り広げる人間ドラマ。公式サイトは→コチラ! 構成的には二重三重の作りというか、そのプロデューサーの新作とされている映画が劇中劇としてランダムに挿入されて本筋と同時進行する作りになってます。最初はあれ?って思うんだけど映像にはっきり区別がつけられてるし(劇中劇は普通のフィルム映像、それ以外はドキュメンタリーなデジカメ映像)、カラクリがわかってしまえば観るのに何ら問題なし。二重三重と言ったのは、例えばジュリア・ロバーツは本編中でも女優という設定で映画の中で映画に出てるわけで、さらに本来のジュリア・ロバーツとして(この『フル・フロンタル』の役柄に対して)答えたコメントを映画の中で使われたりしてるのね。ってなんだかよくわかんないですよね。あー上手く説明できなくてすみません。
お話そのものよりも特徴的なのは舞台裏で、必要最小限のクルーで全編オールロケ、撮影期間はたった18日という強行突破だったらしいです。さらに出演者に対してルールを課し、その内容というのが、◇現場には自力で来ること ◇ヘア・メイクは自分でやること ◇衣装も自前 ◇アドリブ推奨 …って、ほらほら、これってアレですよ! こないだの『HOTEL』! あれと同じでしょ。あれも映画を題材にしてたし実際の印象としても似通ったところがあるんだけど、ただしこっちは『HOTEL』よりもずっと甘めでした。甘いっていうのは、“ツメが甘い”っていうのと“sweet”っていうのと両方の意味でね。『フル・フロンタル』は、何となく、インディ系を装ったハリウッド映画って感じだったんだよなあ。出てる人が有名人ばっかりだったからかなあ。ソダーバーグが身内を集めて仲間内で盛り上がって作ったような。つーかそれがインディ映画じゃん!と言われればそれはその通りなのですが…(笑)。いや、私はマイク・フィギスなんて意味不明オヤジは好きでもなんでもないけどやっぱ『HOTEL』のインパクトはそれなりにすごかったと思うわけ。あのイッちゃってる加減というか、観る人を問答無用で当惑させるムードはかなり堂に入ってたと思います。
それにしても、今更だけど、ソダーバーグって結構純粋に愛を求めている人なのではないでしょうか。必要以上に恥ずかしがり屋さんだし(観ればわかる)。ファインダー越しに人の心を裸にして昇華させるというコンセプトは確かに『セ・嘘・ビ』と通じるものがあって、こういう後味は私は決して嫌いじゃないです。好きか嫌いかという基準で言ったらそりゃ『HOTEL』より断然『フル・フロンタル』が好きですよ(笑)。
あーそれと、これを言わねば話にならん! みんな聞いて! やっぱりブラピは超絶カッコイイです! この人って、たいしたことやってるわけじゃなくてもつい見とれてしまうのは何故なんだろう?やっぱカッコイイからだよな!うん!(自己完結) なんかオーシャンズの時みたく可愛格好良かったです。ちょっとしか出てこなかったけど久々にスクリーンで見られて嬉しかったー。この映画、ブラピファンは特に、最後の最後まで席を立ってはダメですよ!
****** フル・フロンタル 【FULL FRONTAL】
2002年 アメリカ / 日本公開 2003年 監督:スティーヴン・ソダーバーグ 出演:ジュリア・ロバーツ、デヴィッド・ドゥカヴニー、キャサリン・キーナー、 ブレア・アンダーウッド、デヴィッド・ハイド・ピアース、ニッキー・カット (その他ブラッド・ピットとかデヴィッド・フィンチャーなんかも出てます) (劇場鑑賞)
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