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2003年07月19日(土) ソラリス

  ※ かなり内容に触れてます。未見の方ご注意下さい。


私は公開終了間際に観たのでそれまで雑誌のレビューやいろんな方の感想を興味深くチェックしてたのですが、この映画って、すごく評価が分かれていたような気がします。タルコフスキー(あるいはスタニスラフ・レム)への冒涜だというような意見もあればその逆もあり、例えば作家の松浦寿輝なんかはソダーバーグがこれまで撮った中で最高の出来映えだなどと断言していた(@「群像」たぶん先月号あたり)。それで実際に観てみたところ、私は後者寄りです。いやさすがにソダーバーグの最高傑作とまで言い切る自信はないけれどもね、「トラフィック」や「エリン・ブロコビッチ」や「アウト・オブ・サイト」よりこっちが好きだなあと。

まず時間をコンパクトにまとめてくれてたことが良かったです(長い映画苦手なんで)。短い中で主人公クリスとその妻に焦点を絞りドラマ性の高い仕上がりになっている。これ、当事者みんなが“わかってる”というところがミソなんだよね。ソラリスの海によって生まれた妻レイアが本人でないこと(人間でないこと)をクリスはきちんと理解している。さらに本人のコピーではなく「クリスの記憶の中のレイア」にすぎないこともわかっている。しかも再生されたレイア自身もそのことに気付いてる。その上で、どうするか。どうなるのか。「答えはない。あるのは選択だけだ」というような台詞を確かジバリアンが言っていましたが、その通りここから先は心理的葛藤を軸にした人間ドラマの領域になるわけです。そうしてクリスは彼女を愛することを選ぶ。

そもそもこの手の話というは話の展開そのものよりも状況設定が命だと思います。つまり“人の記憶を元にして人間を再生するソラリスの海”というアイデアを含有してる時点で原作「ソラリスの陽のもとに」はもう半分成功したようなもので(って読んだことないけどさ)、だから映画化の際はこの設定を引き継いでその先を自分好みに味付けするという方法が取りやすいんじゃないかな。リメイクといえども割とオリジナル度が高い仕上がりに出来る。今回のソダーバーグ風味は私好みでした。記憶と夢と現実が入り混じったような映像も、台詞や音楽抑え気味の静謐な雰囲気も、良かった。あ、あとジョージ・クルーニーがすごく良かったよ! 今まであんまり好きじゃなかったんだけど(ファンの方すみません)、今回見直しました。「コンフェッション」にも期待します。




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ソラリス 【SOLARIS】

2002年 アメリカ / 日本公開:2003年
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:ジョージ・クルーニー、ナターシャ・マケルホーン、
ジェレミー・デイヴィス、ヴィオラ・デイヴィス
(劇場鑑賞)


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