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2002年07月18日(木) セッション9

ダンバース精神病院ストーリーはオリジナルですが、舞台となっているダンバース州立精神病院は米マサチューセッツ州に今も実在する建物だそうです。19世紀に建てられた本物の精神病院で、お城みたいな外観です。この映画の設定通り、現在は廃墟。うう怖っ。本物だと言われたからかもしれないけど確かに妙な迫力がありました。

ここで改修工事前に、院内に残る有害建材(アスベスト)の除去作業を行う5人の男性達のお話。CGなど特殊効果を使わずに恐ろしさを醸し出したり、主に建物の中で話が進んだりするあたりちょっと「アザーズ」を思い出しましたけど、「アザーズ」がその名の通り“他の誰か”に怯える恐怖だったのに対し、この映画の怖さは“こちら側”にあります。毎日集まって作業をし、そして、だんだん、何かが狂っていく。建物自体とか、残されたかつての患者のセッション(診療)テープとか、そういった過去のもの、その「場」に残る実体のない何かによって、こちら側の精神が少しずつ崩されていくんです。じわじわと怖い。…うん、やっぱりアザーズよりもずっと怖かったな。あれは最後にオチがつけばすっきりする映画だったけど、これはむしろ、見終わってからがぞっとする。

撮り方も上手いんです。ああ何かが起こる!来るぞ来るぞ!と思うと急に暗転したりして、何というか、観てる人の想像力に訴える怖さ。暗所恐怖症の登場人物が、次々電気が消えて行く細い長い廊下(しかも片側の壁には白い防護服の残骸がズラッとかかってる!)を追いつめられるように疾走したりとか。血をドバドバ出したり特殊効果を使ったりしなくても、シチュエーションでこれだけ恐怖を演出できるんですね。
舞台が見事に生かされていて、実在する廃墟を使ったことにきちんと意味がある映画だと思いました。地味だけどなかなか良かった。…でもこれ、撮影中大丈夫だったんだろうか。何事もなかったのかなあ。心配しちゃうよ(余計なお世話)。

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あ、それとこの映画の上映前に先日触れた「マトリックス2(リローデッド)」の予告編を見ることができました。えぇそれだけ?って感じだったけど。なんとも形而上学的な予告編です。あれじゃ何だかよくわからん。なんかキアヌが言うには、「マトリックス」を正しく理解するためにはショーペンハウエルの『意志と表象としての世界(の第二部だっけ?うろ覚え)』を熟読しておく必要があるらしいです(←雑誌か何かのインタビューで読んだ)。無理だ。私は。ごめんキアヌ。ていうかアナタの映画を真に理解するのはファンの私でもいつも大変だよ…いろんな意味でな…。



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セッション9 【SESSION 9】

2001年アメリカ / 日本公開:2002年
監督:ブラッド・アンダーソン
出演:デヴィッド・カルーソー、スティーヴン・ジェヴェドン
ポール・ギルフォイル、ジョシュ・ルーカス
(劇場鑑賞)


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