泊めていただいたお宅では、朝も早よから起きた。なんでかって、そのお家では送り盆の日だったから、朝ぐずぐずしておられないのだった。
おばあちゃんが、なんだか昔お世話になっていたアパートの大家さんに似た口調で親しみを感じ、そのおばあちゃんが、あれこれと盆の支度をしているのをみていた。 縮んだ背をまだ丸めてせっせと、せっせと。藁をたたんだり、お供え物をしたり。 深夜までアテネ五輪を見ていて寝坊したお父さんを無理に起こして、早く早くと急かすんで、お父さんが怒っていた。 それを聞いていて、息子(友人の知人のこと)がちょっと照れくさそうにするし。 息子の彼女(友人と私達をこの家に招待してくれた人)も微妙な顔つきをした。 でも、そういう開けっぴろげなところは好きだけどな。
息子と息子の彼女は、私達よりも3つほど年下なのだけれどとてもしっかりしている。 昨日の花火大会で疲れているだろうに。
というのは。 この息子、諏訪が好きで好きで、7年に一度の諏訪の御柱で木やりの役目をしたいばっかりに、地元に戻った情熱的な息子なのである。 この息子のそのまた友達も、仕事でこちら(栃木・群馬方面)へ来ていたが、どういう訳だか、花火大会の時期になると「コンビニでバイトするから帰る」と言って居なくなっていた。 フツー、連休だからといって、コンビニでバイトだと帰る人はいなかろう。
それが、来てみてわかった。 コンビニのバイトとはただのバイトではなく、地元の仲の良い仲間達が、いっせいに戻ってきて、花火大会の手伝いをする(コンビニの外店で)というものだったんだな。 同窓会かつ、力を合わせて稼いで楽しんで打ち上げして、地元のパワー溢れるバイトだったんだね。
なんと言うか、そういうのが羨ましくてねぇ。 朝食に出された、白瓜の煮物や桑の葉の天ぷらを食べつつ、長野なまりを聞きつつ、なーんか、やっぱり長野に戻りたいなぁと思ってしまった。 いや、地元は地元でいいところも再発見していたりするんだけれども。 あの横の連携力っていいますか。地元を愛してる感じが、堪らんなーと。
そうそう、お盆の朝は、天ぷらとそうめんなんだってさ。 ばあちゃん手作りでした。ありがとう。美味かったです。
*** そしてしっかりした息子と息子の彼女は、観光にも連れて行ってくれた。 諏訪には本社(本宮と前宮)と下社(春宮と秋宮)があるそうで。 「彼らの」社は、下社の秋宮にあたるんだそうだ。だから御柱の時には秋宮に建てられる御柱を引くし、有名な、崖から引き落とす時のも、これを担当する。 ……と、言うような事を、若いのにしっかりと説明してくれるのである。 もうちょっと色々聞きたかったんだが、帰る都合もあるし、相手も疲れているだろうと、昼頃には別れた。 後で丁重にお礼の手紙でも出そうかと思うが……。
最後に諏訪湖を一周して帰ることにし、途中ガラス館に寄って、ガラス吹き体験を……とはいうものの、実際には吹くのは職人さんで、私達はガラスを熱したり、濡れた新聞紙を構えておくだけだったりという、ほんの僅かな手伝いだけである。 それでも、出来上がったら届くはずのものが、今からとても楽しみだ。
では、また明日。
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