髪を切って気の進まぬ買い物に出かける。 どうでもいいが、前髪というものは何故ちょっとでも 切りすぎると落ち着かないのだろうか。
『気の進まぬ買い物』とは、来週に迫った祖父の 授章祝賀会というヤツに出るための服選び。 別に親戚の集まりなんだし キレイめのジーンズをちょっとアレンジすりゃ オッケーだろうと思っていたのに、実家からダメ出しをくらう。
『ンなこと言ったって、さぁ…。』
私の反抗は、ここまで。 自分の祝賀会とはいえ、一番楽しみにしてるのは 他ならぬ祖父なのだからそれをブチ壊すのも忍びない。 基本的にきちんとしたジャケットなんて必要ない生活なので 何とか妥協点を見つけようと。
次第に一体何着試着したのか、分からなくなってきた。 いやその前に、何をどこで着たのかが分からなくなってきた。 しまいにゃ一枚で見栄えしそうなワンピースにまで手を出した。 普段の私なら、到底あり得ない行動だが その時の私の心理は、少なくとも平常ではなかった。 (もっともあまりに似合わず、そこでハッとしたけれど。)
結局買ったのは、やはりシンプルな黒のパンツスーツ。
しかも私の場合ジャケットとパンツのサイズが違うため (肩幅広女の哀しさ…。) 華奢な店員さんに2往復もさせてしまう始末。 ついでに自転車屋巡りでもしてこようと思っていた気持ちは その頃すでにヘナヘナと萎えていた。
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