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二人のはじまり 2■2002年03月22日(金)
最初の指導を終え、僕は生徒と話ができたことに安心していた。
どんなバイト・仕事または学校であろうと、その場での人付き合いは重要だと考えている。
生徒とは、休憩や指導の後に音楽や本の話をした。
しかし話題はいつしか趣味からプライベートな部分へ移った。
その日彼女の部屋の棚に、いつもの本や消臭剤とともに、ライトグリーンの小さな小箱があるのに気付いた。
一目で“それ”と分かるものだったが、僕は何も訊かずにいた。
関心がなかったのだ。
しかし、生徒が自ら話題を振ってきた。
「それ。」
ん?ああ、ネックレスか何かかな?
「彼氏に貰ったんだぁ。毎月、必ずプレゼントをくれるんだよ。」
大切にされているねえ。
そう僕が言うと、生徒は溢れんばかりの笑顔で「うんっ!」と答えた。
幸せそうだね、生徒の幸せそうな顔を見て僕は素直に嬉しかった。
この頃の僕は妹を思う兄、そんな気持だった。
家庭教師としては理想的な姿だった。
しかし、二人のこんな牧場的な関係は長く続かず…。
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