Experiences in UK
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2006年01月30日(月) |
第129週 2006.1.23-30 長男のスクール・ライフ、ヴァージン・クィーン |
(長男のスクール・ライフ) 先日、長男(四歳)の通う学校(レセプション)で親子面談がありました。 去年の九月から始まった長男の本格的なスクール・ライフは、滑り出しこそ予想通りにはらはらさせられましたが(2005年11月6日、参照)、最近は大過なく過ぎているようにみえました。それでも、学校での様子を本人の口からしか知ることの出来ない親としては、本当に彼が学校でハッピーなのかどうか、ずっと気になっていました。 最大の懸念材料は言葉の問題であり、二番目は体力的な問題です。後者は、クラスメートと比べるとかなり小さい長男が運動等でエンジョイできているのかという心配です。長男は日本人の同年代と比べると大きな方なのですが、英国では明らかに見劣りがします。この背景には、七月生まれの長男が当地では「早生まれ」に該当するという事情もあります(九月時点の年齢で学年が決まるため、長男は日本で言う二月生まれに相当)。 以上が複合して、実際のところ学校生活がハッピーではないのでは?と心配していました。
当日夜、帰宅してすぐに、面談に行った妻からの報告をききました。結論として、どうやら我々の心配は杞憂だったようで、ひとまず安堵しました。 私が妻に託した先生への質問は一つで、「先生の目から見て、長男がハッピーに見えるのはどんな時で、アンハッピーに見えるのはどんな時ですか?」というものだったのですが、前者は即答してくれた一方(工作している時らしい)、後者については答が見つからなかったようでした。 学校では一人でぽつんとしていることはなくて、男の子グループの一員として楽しげにしているらしいことがわかりました。確かに、幾人かの好きな友達やあまり好きでない友達の話を家ですることがありましたし、女の子グループへの敵対心を嬉々として語ることがありました。男の子グループは、“smelly girl !”と囃したてて女の子グループと抗争を繰り広げているそうです。こんなひどいフレーズは辞書にも載っていません。
英語の能力に関しては、やはりアルファベットの認識力などの点で、英国人の子とかなり差があるらしいのですが、「日本のおもちゃをクラスメートに紹介して、友達からの質問にもしっかり答えていた」とのコメントには少し驚きました。 それから、もう一つ英語に関して先生から言われたことは、「LとRの発音を混同することがある」ということでした。明らかに、親が中途半端に教えるジャパニーズ・イングリッシュの影響だと思うのですが、しようがないですね。
(ヴァージン・クィーン) 先々週日曜から、BBCで連続ドラマ「ヴァージン・クィーン」が始まりました(BBCウェブサイト、参照)。 16世紀後半の英国(イングランド)を統治し、大英帝国繁栄の礎を築いたとされる名君・エリザベス女王の伝記ドラマで、毎週日曜一時間ずつ四回シリーズのようです。タイトルにあるとおり、エリザベスは未婚のまま生涯を終えました。
彼女は1558年に女王の座に就くのですが、それまでの25年間の人生は運命に翻弄された過酷なものでした。父ヘンリー八世の気ままから、その二番目の妻である母(アン・ブーリン)は処刑され、それによりエリザベス自身も王位継承の資格を失い冷遇されるという幼少期を過ごしました。その後、プリンセスとしての地位は回復したものの、前女王でありエリザベスの異母姉に当たるメアリー一世(ブラッディ・メアリーとの別名があるほど、多くのプロテスタントを処刑した)の不興をかって、一時ロンドン塔に幽閉されていたことがありました。当時、ロンドン塔への幽閉は処刑とほぼ同義だったため、プロテスタントでもあったエリザベスは死を覚悟しただろうといわれています。 ドラマの第一話のクライマックスは、メアリー一世の死により、エリザベスが王位を継承するドラマチックな場面でした。
(正真正銘のスーパー・ヒロイン) 即位までの数奇な運命と即位後の絶対女王としての威厳ある統治により、エリザベスは英国王室で屈指の名君としての評価を揺るぎないものにしています。権力を握るまでの不安定で過酷な立場を凌いだ点や即位後の巧妙かつ安定した統治によりその後長年にわたる国家繁栄の礎を築いたという点で、日本の歴史上の人物になぞらえると徳川家康に似ているでしょうか。 エリザベスは、国内政治においては有力な側近たちの操縦術にたけ、対外的にはフランス・スペインといった当時の大国を相手にした絶妙のかけひきで自国の国益を守り、スペインとの戦争においては果断な指揮で世界最強といわれたスペイン無敵艦隊(アルマダ)を撃破しました。アルマダとの国家の浮沈をかけた大勝負を前にして、兵士たちの前でエリザベスが残したといわれる名演説が語り継がれています。
確かにわたしは一人のか弱い女にしかすぎません。でも胸のうちに秘めているのは「国王の心」です。英国の国王の心なのです。パルマの王子やスペインの王子がなんだというのでしょう。ヨーロッパ中のどこの国の王子といえども、あえてわたしの領分を侵すことがあれば、それを屈辱だと嘆くよりわたしは自ら武器を取って戦うつもりです。 I know I have but the body of a weak and feeble woman; but I have the heart of a king, and of a king of England, too; and think foul scorn that Parma or Spain, or any prince of Europe, should dare to invade the borders of my realms: to which, rather than any dishonor should grow by me, I myself will take up arms; (英語雑貨屋ウェブ・サイトより)
晩年は財政難を背景に議会との対立が深刻化したのですが、「黄金演説」と言われる名演説で議会の全員を心酔させ、その翌々年に全国民から惜しまれつつこの世を去りました。 最後の最後まで、名実ともにカラフルでカッコイイ足跡を残した女王だったようです。正真正銘のスーパー・ヒロインと言っても間違いにならない数少ない歴史上の人物の一人ではないでしょうか。
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