文
- 火傷
2003年10月08日(水)
手の平の上で灯が舞って ちりりと痛みを感じたときにはもう焦げ付いていた あめ色の肌にはぽつり赤い染みが残った ああ 落日を掴まえてしまった
手の平を返して振り払った 服の裾に絡まっていたものは 残り香にもならぬ程度の日溜りでしかなかったはずだ 直に冷えて手の内も懐もただ重たくするだけなのだ ああ そこに捨てておけば善かったものを
ああ 掴んでしまった 一体何になるという 崩れかけた太陽など 蕩けていくだけの残光など
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