海に降る雪 - 2002年03月22日(金) 昔、松本アニメの短編の中に「マリン・スノーの伝説」というお話があったと思うんだけれども。 話の内容は覚えていないけれど、何だか、哀しい話だった印象はある。 その時に初めて「マリン・スノー」という言葉を知った。 深海に行くと、プランクトンの死骸が雪のように、海の底の方へ墜ちていくのだそうだ。 その現象のことを「海に降る雪=マリン・スノー」と呼ぶのだと。 (注:うろ覚えなので、自信はありません) どんどん海底に降り積もって、ただ静かに海底に沈んでいく。 私の言葉にならない想いも、ただ、心の奥に沈めてきた。 どんどんどんどん降り積もって、心から溢れてしまいそうになっているのにね。 それでも、沈めるしかできないね。 言葉にして、吐き出せるようになったことは、ある意味、整理の着いたことなんだ。 言葉にできない、どうしようもない想いたちは、ただ、静かに降り積もっていく。 いつまで保つんだろうね。 ちょうど、春先、まだ、冷たい海に潜っていると、浅いところでも、マリン・スノーに似た風景が見られる。 海の季節は陸の2ヶ月遅れになるらしいんだけど、 震えながら潜った、春の海では、いろいろな命の始まりが感じられて。 死骸ではなく、いろいろな生物の卵や、稚魚で、海に雪が降っているように、見えたんだ。 今では冷たさに潜る根性がないけどねえ。 濁って見える海の景色、私は嫌いじゃなかったな。 透明度は確かに悪いんだけどさ。 命で満ちあふれているような、独特の感覚があったんだ。 あれはあれで、透明度が悪くても、濁っていても、私は何となく、好きだったんだ。 同じ海の雪でも、死骸の雪と、命の雪、全く正反対なんだよね。 本当のマリン・スノーを見たことはないから、よく分からないんだけれどさ。 私の心に降る雪は、死んでいった想いの雪なんだろうか? 私が殺してきた想いの雪なんだろうかねえ? どんどん降り積もった想いたちは、今では、何だったのか、解らなくなってしまっているけどね。 ただ、哀しい感覚が、残っているだけ。 淋しかった、心細かった感覚が、残っているだけ。 言葉にできなくても、本当は、誰か一緒にいて欲しかった。 解ってもらえなくてもかまわないから、ただ、誰か側にいて欲しかった。 ははは・・・私らしくもないことを書いているなあ。 今も静かに、降り続けているんだろうかね? 私は何年もかかって、独りで飲み込めるように、努力してきたんだ。 機械になろうと、してきたんだ。 もう、降っているのかどうかも解らない。 -
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