MEMORY OF EVERYTHING
DiaryINDEXpastwill


2002年08月17日(土) TILL

「キライ! ・・・キライ、キライ、キライ!!」

アタシがそう言うと、目の前のコイツは何でもなさそうな顔で、でも口では違うことを言った。

「哀しいな。そんな風に言われると」

だから、余計に腹が立つ。

アタシの言葉が、どれだけアナタの心臓に穴を空けられるっていうの?
アナタの目のどこら辺に、アタシの姿が映っているの?
アタシはどこにいて、アナタはどこにいるのよ?

「嘘ばっかり」

鬼を退治する正義の死者のように、思いっきり睨んでみたけど、結局それは絶望という風になって返ってくるだけ。
それなのにアナタはまだ言うの?

「嘘じゃないよ」

アナタの仮面をはがすのはアタシじゃダメなの?
全部見たいと思うのはワガママ?

アナタの悲しみも
アナタの涙も
アナタの怒った顔ですら

アタシは見た事がない。

ねえ、せめて――



いつもと違った笑顔を見せて。


「キライよ」

「ね、そういう事は『好き』って言いながらするものだよ」

座るソイツの頭を抱きしめたアタシに、また、変わらない調子でソイツは言った。

それから、

「こうしている時、僕がどんな顔してるか、知ってる?」

不意に言ったその言葉に、アタシはハッとして抱きしめていたソイツを突き放した。

・・・何てことない。いつもの顔だ。

「なるほどね」

と、アタシはあんまり上手くない笑顔を零してしまった。

アタシが見てないときにだけ、違う顔してるんだ。
なるほど、アタシにはまだ隠しておくつもりなの。

「・・・キライよ」

今度はきちんと笑って言った。





そういうつもりなら、まだしばらく付き合ってあげる。

アタシの知らないアナタの全部が次第にアタシにバレるまで。


ゆり |MAIL

My追加