-殻-

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2002年06月08日(土) 再会・1

「まさし(仮名)さんが結婚するらしい。で、俺らで何か余興をやらないかっていう話があるんだけど、一度集まろう。」


ある日こんなメールが携帯に届いた。

僕は昔、音楽をやっていた。
正確には今も続けている。
ただ、バンドっていう形態を取っていないだけだ。

大学で出会った、気の会う連中とバンドを組んだ。
バンドといっても、アコースティックギターが3本と3声のコーラス。
例えていうなら、CSNのような感じだ。

いっしょにライブをやった対バンの人が、僕らをとても気に入ってくれたようで、サークルのようなものを作った。
いろんな音楽性を持ったバンドをいくつか集め、その中でさらにメンバーを組み替えて新しいバンドを作ったり、ライブをしたりした。

しかし大学という場所は人の移り変わりが激しいところで、そんな楽しい時間はそれほど長くは続かない。
就職で街を離れる者、メンバー間のいざこざで遠ざかる者、研究の忙しさで参加でできなくなる者、いろいろあって少しずつ自然消滅していった。

僕のバンドもまた例に漏れず、ちょっとした諍いや意識の違い、忙しさから休止状態になってしまっていた。

それでもまだ、僕らの中には「その時間を確かに一緒に過ごした」という意識がある。それは揺らがない。でも、お互いに歩み寄る機会がなく、日々の生活の中に埋没していった。


そんな僕らの時間が動き出したのは、去年の3月だった。

僕以外の2人はH大の博士課程3年。
僕は研究の都合でK大に移っていた。
2人はA県に就職することが決まっていた。
同じ県内でも一方はT市、一方はH市なので2時間くらいかかる。
僕は留学することが決まっていたので、しばらくは顔を合わせることもなくなるだろう、ということで、区切りに何かやらないかとT市に就職するYが言い出した。

そして僕らは、3年ぶりにライブをやることになる。


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しんMAIL

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