-殻-

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2002年03月04日(月) Harvest Moon

僕の大好きな曲に、「Harvest Moon」という曲がある。

この曲はとてもきれいな曲だ。もちろんメロディやアレンジもだが、なによりも歌詞が美しい。
年老いた夫婦を歌ったラヴ・ソングだ(と思う)。
夫から妻への言葉。
とてもやさしい、甘い愛の言葉。

Come a little bit closer
Hear what I have to say
Just like children sleepin'
We could dream this night away

But there's a full moon risin'
Let's go dancin' in the light
We know where the music's playin'
Let's go out and feel the night

Because I'm still in love with you
I want to see you dance again
Because I'm still in love with you
On this harvest moon

When we were strangers
I watched you from afar
When we were lovers
I loved you with all my heart

But now it's gettin' late
And the moon is climbin' high
I want to celebrate
See it shinin' in your eye

Because I'm still in love with you
I want to see you dance again
Because I'm still in love with you
On this harvest moon


実はつい最近、この歌を生で聞く機会があった。
この歌が収録されているCDはずいぶん前から持っていたが、あまりこの歌を気にしていなかった。それが今回目の前でこの歌が演奏されたとき、不覚にも僕は泣きそうになった。

正直なところ、今まで英語の歌詞にそれほど深い感銘を受けたことはなかったのだ。
やはりNativeではないし、細かいニュアンスが伝わりにくいということもある。
それに、英語という言語は非常に単純化されているために、日本語ほど豊かな「情緒」を表現することは難しいのだと思っていた。

しかしこの曲は、とてもシンプルな言葉の中に深い深い愛情が表現されている。
単純な言葉だからこそ、ここまで心に染みるのだ。

これを見て「うわ、英語だ」と思って読み飛ばしてしまった方も、もう一度歌詞をよく読んでみてほしい。全然難しくない。中学レベルの英語力で十分だ。なのに、なんと深くやさしい言葉だろうか。
(そもそも僕の英語力で、ライブで演奏されたこの歌詞を聞き取れたということは余程簡単なのだ)

そして僕は思う。
言葉というのは決して「たくさん使えばたくさん伝えられる」のではないのだと。
その情報量が、本当に伝えたいことを殺してしまうことも多々あり、むしろ少ない単純な言葉で語られる方がより真実に近いこともあるのだと。

難しい表現などいらない。
それはあくまで手段の一つであって、言葉の本質ではない。

ただ、そのひとことが本当に自分の今の気持ちを、想いを伝えるものなのか。
大切なのはそれだけだ。
自分の発する言葉にも、そんな「想い」を込められたらいい、と。



それと、こういう「老いた」歌が僕を惹き付けるのにはもう一つの理由がある。
僕は「続けてゆくこと」にこだわりがある、と以前書いたと思う。
だから「変わらずに続いてきたもの」、また「そうできた事実」に深く心打たれるのだ。

今愛している人に、例えば30年、40年後にこの歌のような言葉をかけてあげられるだろうか。
本当に、心の底からこんな気持ちが湧き出てくるほどになれるだろうか。




僕は今でも君を愛しているんだ、と。

変わらずに君を愛しているよ、と。


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しんMAIL

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