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遺書と屍
羽月
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2010年04月17日(土)








「わかるよ」



そう言ったところで、もうわたしやあなたは満たされない。
そんなものじゃない。そんなものがほしいなんて一言も言ってない。

共感なんて傷の舐め合いを、共存なんて無駄な言葉を、もはやわたしたちには必要もない。

絶望がわたしを殺すだろう。
そして、きっと絶望はあなたも殺す。
何度でも言おうと思う。あなたはもう既に死んでいる。わたしももう既に、死んでいる。
何度も何度も、死んでいる。
恐ろしいほどの絶望にさらされるとき、生きてなどいけないと思うとき、死んでしまおうと思うとき、そう、それから、首を絞めたあの時。
わたしはきっと何度も死んでいる。
あの夜が、きっと、産声だった。

わたしは、わたしを何故産んだのだろう。
あの涙が産声であったのなら、この世界に再び生れ落ちたことをきっと呪った。
生まれ変わっても自分になりたいなんて、ほんと正気の沙汰じゃない。
わたしが続いてゆくなんて、耐えられない。
わたしは、何故わたしを産んだのだろう。
吸い込んだ息で、生きていることを呪った。



あの狂おしい思いを、感情を、声を、涙を、そして言葉を、知っているから生きている。
死後の世界を信じてるの?
もしもこの世界が箱庭ならば、同じ役割を繰り返すだけかもしれなくても?
ただ安寧ばかりだというならば、死ぬのはどうしてこんなにも苦しいのだろう?
息が止まることも、脳に血が行かなくなることも、どうしてこんなにも苦しいのだろう?

知ってほしいのは、本当は、誰になんだろう。
「わかるよ」なんて、声が聞こえなければ証明にもならない。