2002年07月07日(日) |
あんたなんて帰ってこなくてもよかったのよッ…バカッ! |
誰もあんたの稼ぎなんか必要としてないわよ!!! 雅人だって、あたしがちゃんと育ててるわよ!毎日パート出て、アルバイト行って、 あんたと張るくらいの稼ぎはきちんとあるわよ!!! それが・・・なによ! どのツラ下げてアタシ達の前に出てきてるってのよ!! 聞いてんの!? ちょっと、顔上げなさいよ!!
・・・!!
あ、あんた・・・泣いてるの・・?
という雰囲気で、帰ってきちゃいました。テヘ。 自分は夜行バスに乗るためにベルボトムにTシャツ、コンバースの靴にオレンジ色のトランク(高校時代から愛用、何度も壊れたが直した)という愛らしい出で立ちでS宿に降り立ったわけだが、 なんとその間に2人にナンパされてしもうた。
しかも、日本人に!!!!
これは快挙ではなかろうか。凄すぎる。 東南アジアのアイドルだった自分が(本当かよ)、なんと今回日本人ですよ!! どちらもサラリーマンだったが、疲れが見え隠れしていて、話しているこっちが辛くなった。 見るからにこれから旅立とうとする人までナンパせんでも・・・。という同情は沸いたが モチロンお断りである。 バスはやってきて、スムーズに乗りこみ、隣の人の足の匂いで眠れない夜を過ごした。 実家に6月20日〜7月5日までとの長い時間をお世話になってきたのだが、実家はかなりの歓迎ムード。 しかし猫は寄って来ない。 誰が拾ってやったと思ってんだ!と、飲んだ末のダメ親父発言のような事を言ってとりあえず威嚇。 ボスは俺様だ!!よぉくその目に焼き付けておくんだな!ペッ!←やってない
父親は毎日オイラの好きなZIMAをてんこもり買って、早く帰ってくる。 母親が「ティガーがいるから早いのよ」と苦笑していて、やはり父親の中で自分は まだ『何かを買い与えてもらえば大喜び』な幼少の自分なんだなぁと思うと泣けてきた。 姉貴はゴロゴロ度が高まっていて、お腹の赤ちゃんのためだもんねーと逃げを作ってはモリモリ食っていた。 そんで、寝てた。 または、「オエッ」と言ってた(つわり)。 家族の食器を洗うのは何故か客人として招かれたはずの自分で(この考えの時点で少々間違っているのだが)、 あまりの姉貴の怠惰さに怒りよりも呆れてしまい、どんどん肥えろ、肥えてしまえと小声で呪う。
そうして姉貴の結婚式が始まった。 彼氏は初めて見たのだが、男前。自分から言わせれば身長が低いのが難点。 自分が見てそう思うんだから、自分より背が高い姉貴は彼氏との身長差が2cm程で、 やはり姉貴は履く靴にかなり気を使っていた。 足が大きいからただでさえ履く靴が限られるのに、ヒールの事も考えなければならないためにかなり大変そうだった。 しかしヤツのボディーには完敗である。 何もしていないのにスレンダー、胸はDカップ、顔はちょっとブスだが(←オイ)そこいらは ハリウッドのSFXもビックリなメイクでバッチリ誤魔化せているぞ!と姉貴にゴーサインを出す。 肩の出たデザインのドレスを着ていて、華奢な肩がとても似合っていた。 馬子にも衣装とはよく言ったものだ。 お互いの親族だけの本当に小さな式が始まり、パンフレットみたいなのが配られて強制的に イエス様バンザイな歌を歌わされる。 「われらの主よ、許したまえ」とかそういうセリフも強制的に言わせられるのだが、
『別に許してもらわんでもえぇわい。この不精髭がッッ!!』
等の反骨精神が出てしまい、終始ニヤつく自分。 厳かな雰囲気に反するように盛りあがる自分の反発心。 そうして式はメインイベント(?)の「誓いのキッス」になった。 思わず二人を凝視(笑)。チュゥと生々しいエグイ音がして、彼らの唇が触れて離れた。
――その瞬間だった。―― ドサっと音がして、姉貴(新婦)が倒れた。 今でもそのシーンが鮮明に思い出される。 フンワリと膨らんだドレスの中に埋もれ、神父に寄りかかるように倒れた姉貴。 一瞬にして静寂に包まれ、まず飛び出したのは父親だった。 「A子!!A子!!」と叫び、姉貴を抱き起こし、スタッフの人に「水持ってきてください!」と指示を飛ばす。 新郎はしっかりと姉貴の手を握って、「大丈夫か。俺が分かるか?見えるか?」と 正面からじっと見つめていた。 新郎の家族は全員が立ちあがり、身を乗り出し、「駆けよっていきたいが、行くわけにもいかない」という典型的なもどかしさを演出していた。OK!あんたたちは最高の出来だ(何)!! そうして自分と、兄貴は・・・ニヤニヤしていた。 正直心配など微塵もしていなかった。昔からそういう姉貴だ。 「すごいエンターテイメント性の高い結婚式やね」とか「ナイスハプニングだな」とか、 あたしたち、初夏の木漏れ日に誘われて、なんと好き勝手に小声でお喋りッ★ いけない子だぁ★ゴッツンコ! さて、姉貴は水を与えてもらいムクムクとたちあがり、「大丈夫です!」と微笑んだ。 式は続行。強制的な誓いの言葉も続行。自分の反骨精神も最高潮に達し、式は終わった。 歩いてくる二人にポプリを投げつける。←微妙に違う 写真も撮る。 父親が撮っていた写真の構図が気に食わなくて、自分が撮影しまくったせいで 自分が映っている写真は数枚しかなかった(笑)。
その後MAD家全員(+姉貴)でうどんを食べ、帰宅。 うどんを食らうころには姉貴は超回復を見せていて、アレもコレもとモリモリ食っていた。 例にならってまた、自分は「肥えてしまえ」と小声で呪う。 夜には向こうの家族と食事会が設けられ食事をしたのだが、 なんでか姉貴と、そのダンナと、自分でおお盛りあがり。 なんでこんなに盛りあがるんやろうなぁと小首を傾げる両家の親を尻目に、「今日パンツ上げながら来ると思ってた!」と義兄にツッこまれ、「いやぁあごひげは今朝剃ったんスけどね、パンツはピッタリやったもんで」という自分。 【説明しよう!!義兄は無類のWWE(元WWF)好きで、自分と話が合うのだ!!パンツをずり上げながら入場するエッジを想定しての、とってもメルヘンなお話だったのだ!!】 義兄は非常にいい人だ。(理由:WWE好きだから)
その後・・・なぜかMAD家には姉貴がいた。 オイ!いつ出てくんだよ!とは誰も言わず、やっぱり姉貴がいた。 新居は決まっているのだが、引越しが済んでおらず住める状況ではないらしい。 姉貴は家具や電化製品を見に行く以外に、自分と過ごす時間をとても喜んでいた。 「ティガーがいると面白い」とか、「こっちに帰っておいでや」とか言う。 そうかもしれんけどな、と自分。 実際こっち(実家)に帰ってきて、ずっと一緒だったら楽しいことばかり見るわけにはいかなくなるわけよ。 今の自分の兄貴の二人暮らしみたいな感じで、絶対にイヤな面に正面からブチ当たらないかんわけよ。 夢だけ見たいならこっちに帰っておいでなんて軽軽しい口叩くんじゃねぇよ、とまでは言って無いが それらしい事を言うと、ふんふんと真剣に聞いている姉貴。 実家でずっと育ってきた彼女にとって、実家から離れるのが怖いのだろうと思う。 結婚前のマリッジブルーというものが許されなかったため、今更になって恐ろしさがあるのよと 母親が言っていたが、姉貴の異常とも言える甘えようはそういう事か、と納得する。
6月27日に愛媛に帰る。 今となっては「愛媛に行く」のほうが的確なのかもしれないが、あえて愛媛に帰ると言わせてもらう。 父親が愛媛に出張だったため、早朝の車に同乗させてもらい出発。 10時すぎに愛媛の中心街松山の大街道付近に到着し、 友達Cと、S。二人との約束の時間を大幅に早まっているがモンクは言えず(笑)。 とにかく喋りまくって、1日が過ぎた。友達の家に泊めさせてもらって一泊。 友人Cと喋った時、自分はあまりの衝撃に半泣きになった。 彼女は一度上京してきたがまた戻った出戻り組である。 自分が何をしているのか分からなくなった、とか・・・妙なプライドがあってこれ以上芸術の世界で やっていけるとは思えなかった・・とか、もう話す話すべてが自分とリンクしていて二人でグチりあった。 「大丈夫だよ」とか「ティガーちゃんなら出来るよ」とかいう生易しいものではなく、 厳しい言葉もあったが、それは「あの気分」というものを感じた者だけの経験談だったように思う。 彼女は「愛媛に帰ってくるかどうかは、ティガーの決める事やしね」と、やんわりと突き放した。 「いて欲しい」という言葉じゃなく、自分に考える機会を与えたその言葉の存在は大きかった。 「帰ってきたら、毎日くらい、いっぱい遊ぶけど。」と二人に言われてまた半泣き。 彼女たちに触発されて自分はしばらく都会で揉まれることを選んだ。 せめて2年は頑張ってみようと強く思った。 彼女たちと会ったのはたった2日だったが、その間に自分が数ヶ月悩みつづけてきた問題の 答えが出てしまった。 帰りのバスで、自分は前のように泣かなかった。
7月1日までに自分は姉貴の結婚式と、 山登りを3回、チャリで島一周を1回、愛媛へ帰るを1回、徳島ラーメンを食べに旅に出たを1回、姉貴の家の家具を見に行くを4回、一人で海でたそがれるを2回、父親と釣りに1回、行ったことのない街へとチャリで爆走して迷子を5回、そこで道を聞いてできた友達一人、ZIMAを毎日2,3本、プラスチューハイ2本、夕食作りを3回して食器洗いを毎日、洗濯物干しを数回、近所の激ウマパン屋へ毎日、猫に餌付けを毎日、父親と晩酌を毎日、を担当した。 帰国の日が1日だったため、自分は30日に身支度を整えた。 布団を畳んで(なんでか兄貴の放置したやつも)布団カバーを洗い、干し、 持ってきていたトランクに高校時代のMALICE MIZERのCDをつめこむ。 (おかげで異常な程、来た時よりも物が入らなくなってしまった。) その時視線を感じて振り返ると、姉貴がいた。なんじゃらホイと問うと、半笑いで 「ティガーは帰ってしまうんかー。寂しいなるな〜」と呟いて1階へと降りていった。 そして1日。母親からとんでもない事を聞かされた。 姉貴が泣いたという。「ティガーが帰っちゃう」と言って泣いたそうだ。 ここまで行けば情緒不安定も甚だしい。 今帰ったら相当凹むだろうから、もう少しいてと母親に言われ自分は残ることになった。 チケットのキャンセルをしに行った時の姉貴は、本当に嬉しそうだった。 次は絶対帰るからねと念を押して6日にチケットをとり直す。 しかしそれから姉貴はいきなり大忙しになり、あまり家に帰ってこなくなり、 MAD実家にある自分の必要性に疑問を持ち始めた自分はまた山に登った・・・。
またパン買った・・・。
食った・・・。
買った。食った。登った。買った。食った。
太った♥エッヘヘェ♥
帰りのバスに乗った自分は、笑顔で見送ってくれている家族を目の前にしてとても嬉しかった。 オイラやるッス!という気迫が出た。 そして、自分の座席の横の横の座席だった人があまりにもタイプで終始くぎ付けだった。 オイラやるッス!!!!!!!!!!!!!!という気迫がモロに出た。
夜行高速バスは3列で、A(列)の、4(前から何番目か)とかで座席番号が書かれているのだが 自分のA6の横であるB6には人がおらず、C6の素敵なダーリンはもう丸見えである。 あほ程ときめいた。生まれてこのかた一目ぼれなんてしたことのなかったこの自分。 座席を倒す時に「すいません、倒していいですか」ときちんと後ろの人に問うているところも 好青年まるだしで好きじゃ―――――――――――――――――!!!!! 何よりも、その身長(推定182cm)が好きじゃぁぁ―――――――――――――――――!!!! 長い足を折りたたむようにしてスースーと寝息を立てる彼。 ヨダレに気付いてハッと目を覚まし「油断大敵ッ★」と気合を入れなおす自分。 前のオバサンの「早く寝てよ、あんたが寝たら座席思いきり倒すんだから」といういかにもな視線と 後ろのオッサンの伸ばしてきた足があるような最悪な環境だったにも関わらず、自分の気持ちは最高潮だった。
今まで抱いた事のない気持ちにドキドキして、したこともないナンパをする事を決意。 しかし彼はパーキングエリアに着いても降りない・・・。さてはこいつ、下車嫌いか。 もし降りたら僕を置いて行っちゃうかもしれないモン!とか思ってるのか。チクショー萌えまくりだぜ(何)。 ナンパなんてどうやってしたらえぇんかな、と本気で悩む。 「あのー、東京に住んでるんですか?」とかいい切り出しかただな、とか一人でにやつく。 執行はバスを降りて荷物をうけとった後だ!!!と心に決め、バスが止まって彼が歩き出すのを待つ。 なかなかしぶとい奴のようで、乗客が7割出て行ってしまってもまだ様子をうかがっている。 このままでは明らかに怪しい!!自分は立ちあがり、バスを降りて荷物を受け取った。 自分をよく見せるために、体の隅々まで神経が行き渡っているのが分かる。 今の自分は最高だ。パンの食べすぎで太ったが(大問題だが)、少しのぬかりもない。 トランクを受け取ろうと待っていると、彼が自分の後ろに並んだ。 うぉぉ―――――!!!最高ですよこの身長差!! トランクを受け取ると、自分はサッとその場を離れた。呼吸を整えて彼の行く末を見守る。
はずだった。
そこに彼はいなかった。
「そんで?」という声が聞こえてきそうなのだが、それだけだ。 もうそれから彼とは2度と会う事はなかった。 本当に、一時間ほど探してしまうほど気になっていたのだが・・・。ガックシ。 もしこれ見てて自分かと思った人は御連絡を。お願いです(土下座)。
しかし――後後冷静になって考えてみると、その彼は♂♀にソックリだったわけだ。 結局自分が好きなのは♂♀(のような容姿の人)だとガックリした。
帰り、S宿でちょっと買い物。ルミネで半額セールをしていて、キーチェーンを2本購入。 あんたこんなの、どこで買ったって一本二千円はするよ!というものを2本千三百円くらいで買ってしまった。 今までの人生で、最高の買い物だった・・・かもしれない。 チンタラチンタラ買い物をしてルミネを出たら芸能人のY田花子とバッタリ会ってしまった。
ビックラこきましたがな(笑)。
それが、テレビで見たとおりというか・・・色白で凄く小柄な人だった。
結局自分の今回の旅はナンパに始まりナンパで終わり、山田花子で締めくくりだった。
MAD TIGER地味作品集
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