「暗幕」日記
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私の声があなたに届いていて欲しい ようやく見つけた
長い間ずっと孤独だった 胸を重くふさぐ石をようやく避けて出した細い声が また見えない膜で阻まれてどこへも行けない そんな記憶は遠いことではない
あなたの声を私は聞いた そしてかつての絶対的な孤独を思い出した 聞き違いでなければ あなたは今 私の辿ってきた道の途中にいる
坂の頂上はとうに過ぎた 後はくだるばかり あとは薄れてゆくこの力をすべて費やしても 私の記憶をあなたに譲りたい
一度だけ声をあげよう もしもこだまに似せて 私の声ではない誰かの声がかえってきたら 私は荷物を最小限にまとめて 最後の旅に出よう
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