桜吹雪の中を散歩するのって、楽しい。 味気ない灰色のアスファルトが、一面薄桃色の絨毯になるし 舞い散る花弁がキレイだけれど、物哀しさも連れてくる。
来年の桜も、こうして見られると良いな…。
わたし、妙に犬に好かれるの。
幼い頃から犬と一緒に暮らしてたからかな。 先代のスピッツとは、8歳の春に泣く泣く別れたのだけれど 次のマルチーズとは14年間も一緒に暮らした。 母が他界した翌年に、彼も天へ召されてしまった。 それからは犬は飼っていない。 長い間ペットロス症候群が治らなかった。
だからなのか、道で出会うワンちゃんたちが、わたしに必ずアプローチしてくれる。 すれ違うコたちは、わたしを必ず振り返る。 「遊ぼ!」って、瞳が誘ってる。 犬が好きな人は、そういうオーラでも出しているんだろうか。 彼らはみんなわかるみたい。
今日も大きな雑種のワンちゃんに逢った。 彼はわたしを見つけるなり駆け寄ろうとして、飼い主さんにリールを引っ張られた。 だけど頑として、そちらへは戻らない。 首が締まってしまう。
ついいじらしくなって、しゃがんで声をかけたら―――
もうむちゃくちゃ。
わしわし と、頭や首やお腹を撫でたら、太陽の匂いがした。
絨毯のような手ざわり 温かい体温 無邪気な瞳
彼らは、そこにいるだけで、心を温めてくれるんだなぁ…。
懐かしい愛犬の瞳を、見つけた。 そんな気がした。
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