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「槞梛俚庵(るなりあむ)


時折綴

2006年04月07日(金) 犬の瞳

桜吹雪の中を散歩するのって、楽しい。
味気ない灰色のアスファルトが、一面薄桃色の絨毯になるし
舞い散る花弁がキレイだけれど、物哀しさも連れてくる。

来年の桜も、こうして見られると良いな…。

わたし、妙に犬に好かれるの。

幼い頃から犬と一緒に暮らしてたからかな。
先代のスピッツとは、8歳の春に泣く泣く別れたのだけれど
次のマルチーズとは14年間も一緒に暮らした。
母が他界した翌年に、彼も天へ召されてしまった。
それからは犬は飼っていない。
長い間ペットロス症候群が治らなかった。

だからなのか、道で出会うワンちゃんたちが、わたしに必ずアプローチしてくれる。
すれ違うコたちは、わたしを必ず振り返る。
「遊ぼ!」って、瞳が誘ってる。
犬が好きな人は、そういうオーラでも出しているんだろうか。
彼らはみんなわかるみたい。

今日も大きな雑種のワンちゃんに逢った。
彼はわたしを見つけるなり駆け寄ろうとして、飼い主さんにリールを引っ張られた。
だけど頑として、そちらへは戻らない。
首が締まってしまう。

ついいじらしくなって、しゃがんで声をかけたら―――

もうむちゃくちゃ。

わしわし と、頭や首やお腹を撫でたら、太陽の匂いがした。

絨毯のような手ざわり
温かい体温
無邪気な瞳

彼らは、そこにいるだけで、心を温めてくれるんだなぁ…。

懐かしい愛犬の瞳を、見つけた。
そんな気がした。


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冰月まひな [MAIL] [HOMEPAGE]