女の世紀を旅する
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2010年07月26日(月) |
米韓の海上軍事演習と北朝鮮の核の報復声明 |
米韓の海上軍事演習と北朝鮮の核の報復声明
2010/07/26
中国は韓国哨戒艦「天安」沈没問題で北朝鮮を断固としてかばったが,今回の米韓の合同海上軍事演習に対しても中国は反対の警告を発しており,朝鮮半島情勢からしばらく目が離せない。
同じ社会主義体制の北朝鮮が危機におちいったら中国は軍事支援に乗り出す可能性が高い。いずれにせよ朝鮮情勢は危険なレベルに近づいているのは確かだ。平和ボケの日本の隣国でいままさに軍事紛争が勃発しようとしており,今後のなりゆきを注視したい。
米韓両軍が北朝鮮を仮想敵とする史上最大の海上軍事演習を開始した。米は並行して北朝鮮指導部を標的にする新たな金融制裁措置も打ち出した。北朝鮮は「核抑止力で対決する」と反発。中国も「外国軍隊の演習に断固反対する」と警告。米韓対中朝という朝鮮戦争(1950〜53年)以来の対立が新局面を迎えた。
★米韓は3つの措置で北朝鮮と対決 米韓両軍は7月25日、日本海で史上最大規模の海上軍事演習を開始した。参加艦艇は米原子力空母ジョージ・ワシントンをはじめ20隻余り、航空機は最新鋭ステルス戦闘機F22はじめ約200機。兵員は米韓合わせて8000人余りが参加し、北朝鮮を仮想敵とする海上軍事演習としては最大規模となる。演習期間は今回4日間だが、今後数ヶ月間にわたって一連の米韓合同演習を続行し、演習海域も日本海だけでなく朝鮮半島の西海岸から黄海にも拡大するという。
米韓はこの演習と並行して、新たな合同作戦計画「戦略同盟2015」を秋までに策定することも決めた。従来の「作戦計画5027」は朝鮮半島有事の際、米軍69万人と空母5個船団が出動、米軍主導で作戦を展開する計画だった。新たに策定する「戦略同盟2015」は、戦時作戦統制権が2015年に米から韓国へ移管されるのに備え、韓国軍が地上作戦を主導し、米軍は海軍と空軍で支援にまわる態勢に変える。有事後に予想される統一を韓国が主導することも視野に入れている。
米はこれに加えもう1つ、北朝鮮に対する新たな金融制裁にも着手した。クリントン国務長官が21日の記者会見で明らかにした。それによれば、北朝鮮が使っている海外の銀行口座を追跡し、不正な武器輸出の代金や北朝鮮指導層の資産、ぜいたく品購入の資金などを凍結するという。中央日報(電子版)は23日消息筋の話として、米財務省は東南アジアや南欧、中東など10箇所でこれら資金を決済した口座約200件を発見、このうち約100件を凍結する措置に入ったと伝えた。
★北朝鮮は核抑止力で対決すると反発 この米韓両国の動きに対し、北朝鮮は24日最高権力機関の国防委員会が報道官声明を発表、「核抑止力に基づく報復聖戦を開始する」と宣言した。米韓の軍事演習を「核戦争の演習」と位置づけ、核には核で対決するとの姿勢を示したのだ。北朝鮮は韓国哨戒艦の沈没事件に関連して、これまでにも「全面戦争」や「ソウルを火の海」などの強硬な表現をしばしば使ったが、「核抑止力に基づく報復聖戦」という核を前面に出して対決する姿勢を表明したのは初めてだ。
米韓両軍の合同海上軍事演習については、中国も強く警戒する姿勢を早くから示していた。7月1日には、人民解放軍の馬暁天副総参謀長が香港のテレビとのインタビューに答え「外国軍隊が黄海で軍事演習することに強く反対する」と軍の見解を表明した。中国の現役軍人がテレビに出演するのは異例のことだ。また、中国外務省も21日の報道官談話で「外国の軍用艦艇や軍用機が黄海や中国近海で中国の安全に影響を及ぼす活動をすることに断固反対する」と警告していた。
この報道官談話は北朝鮮には触れていないが、中国は自国の安全に影響を及ぼす地域の中に北朝鮮も含めていると見ても間違いではない。それは5月末に訪日した温家宝首相がNHKのテレビ番組に出演した際の発言からもわかる。同首相はこの番組の中で、「城門に火事が起きれば、被害は池の中の魚にも及ぶ」という中国の格言を引用。中国の北朝鮮政策は、中国にとっては城門にあたる北朝鮮の火事を防ぎ、被害が池の魚、つまり中国国内に及ぶのを阻止することにあるとの示唆をした。
★今後を占う鍵は金融制裁の成り行き 中国が哨戒艦沈没問題で北朝鮮を断固としてかばったのは上記のような考えに基づいていた。国連安保理では、この中国の北朝鮮弁護策が功を奏し、安保理議長声明は北朝鮮を名指しすることもできなかった。中国はこの北朝鮮擁護の姿勢を当面続けるのは間違いない。国連安保理が哨戒艦問題の協議を終えると、中国が直ちに6カ国協議の再開を呼びかけ、北朝鮮が呼応したのが、それを暗示している。これに対し、米は6カ国協議に反対し、海上軍事演習も中国の反対を押し切って強行した。
米は同時に韓国と秋までに「戦略同盟2015」を策定、地上作戦を漸次韓国軍主導に切り替えることも決めた。米はまた、新たな金融制裁を実施、北朝鮮の最高権力層に入る資金源を遮断する措置を取り始めた。哨戒艦沈没事件を契機に、中国が金正日総書記の現体制擁護の姿勢を明確にしたのに対し、米は金融制裁で現体制の金脈を切り、軍事演習で挑発活動を押さえ、万一の場合には韓国軍主導で北朝鮮領内に進攻する準備をしているとの見方もできる。
中央日報(電子版)は23日の社説で、「米の新たな金融制裁の結果、朝鮮半島情勢が新たな局面を迎えている」と不安感を表明。さらに「米の今回の金融制裁が北朝鮮の態度の変化に前向きに作用することを期待する」と述べ、北朝鮮の出方を見守っていることを明らかにした。米は05年、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアの北朝鮮口座を凍結、2500万ドルの資金の移動を止めた。今回の金融制裁はこれよりはるかに大規模で、成り行きによっては北朝鮮指導部に深刻な打撃を与えると見られている。
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