女の世紀を旅する
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2008年08月13日(水) |
夫婦壮絶バトルの背景 |
〈結婚に関する格言〉
◎ 「その女性がもし男であったなら,きっと友達に選んだだろうと思われるような女であければ,妻に選んではならない」(ジュペール『随想録』)
◎ 「女性が結婚するのには大きな理由がある。しかし,男性が結婚する理由は一つもない。群棲欲がかれらを結婚させるだけのことである。」 (モンテルラン『善の悪魔』)
以下,夫婦の大ゲンカの背景をおもしろく指摘した記事からの抜粋。
《夫婦壮絶バトル!「ゴミ出しで怒り狂う女」vs「指示待ち人間になる男」》
西川敦子(フリーライター)
海外出張から戻ってきた部下の氷河秀子さんは、なんだかご機嫌ななめだ。「もしかして、嫌われるようなことを言ったかな」と心配になった中田堅二課長は、彼女をランチに連れ出すことにした。
「あ、あのさあ、なんだかこの頃、態度がつっけんどんじゃない?よかったら理由を教えてくれないかな」。こわごわと切り出した中田氏に、氷河さんは一言、「ゴミのせいです」。
好物のパスタで機嫌を直してくれた彼女。真相はこうだった。夫婦共稼ぎの氷河家では、彼女が寝る前にゴミの分別をし、翌朝、夫がそれを捨てに行くことになっている。とはいえ、氷河さんはフルタイムで仕事をしており、残業もかなり多い。眠い目をこすりつつゴミと格闘する自分と、出勤時にマンションの集積所に持っていくだけの夫――。日頃から「どうも不公平なような…」と思っていた。
そして今回の長期出張である。疲れ果てて帰ってきた氷河さんの目に映ったのは、なんとゴミ屋敷と化した我が家だった。
「もう、臭いったらありゃしませんよ!だいたい、私がいないなら、自分で分別すればいいじゃないですか。それなのに『言ってくれればやったのに』だの、『分別の方法がわからなかった』だのって言い訳するんです。そんなの役所のパンフレットを見れば一目瞭然なのに!ああ、腹が立つ。どうして、男って家に帰ると“指示待ち人間”になっちゃうんですか!?」
中田氏は何も言えなかった。指示を待つどころか、彼はゴミ出しや分別など、一度もやったことがなかったからだ。
●たかがゴミ問題で妻が怒り狂うワケ
たかが「ゴミ」と侮ってはいけない。第一生命経済研究所の調査によると、「家事の役割分担」は夫婦喧嘩の原因の第3位で24%。喧嘩のとき、先に怒り出すのは妻の場合が多く、43%だ(「夫が先」は37%)。低い年代ほど「妻が先」は多くなり、最も多いのは30代で過半数(55%)に達している。「パートナーに不満がある」人も、女性が66.7%と大半。このうち共働きの人が61.8%で、専業主婦より多かった。
たしかに総務省の調べでは、3歳未満の子どもがいる共働き世帯の1日あたりの家事時間は、夫が30分なのに対し、妻は3時間4分。子どもがいない共稼ぎ夫婦の場合も、夫が25分、妻が3時間3分と圧倒的に長い。
彼女たちは具体的にどんな怒りを感じているのだろう。直接聞いてみた。
■怒りその1:「あんたの分だけかい?!」 「『今日は仕事で遅くなるから、夕食が作れそうにないの』って夫に言ったら、なんて答えたと思います?!『あっそう。じゃ、オレの分は自分で作るよ』。どうしてそうなっちゃうの?私はどんなに忙しくたって、いつも2人分の夕食を作っているのに」(飲食業・50代女性)
■怒りその2:「ポテチの袋くらい捨てろ!」 「私はサービス業なので土日も出勤が多いのですが、留守の間彼が何をしていたか、一発でわかりますね。パジャマは脱ぎっぱなし、食べ終わったポテチの袋は捨てない、読み終わった漫画雑誌は出しっぱなし、食べ終えたカップラーメンも転がっている……。仕方なく後片付けしてますけど、ブチキレるのも時間の問題です」(サービス業・20代女性)
■怒りその3:「おかゆも作ってくれない」 「体調を崩した私に『熱があるのか。夕飯、急がないからゆっくり作っていいよ』。そして、自分は寝転がってテレビを見ているんですよ。なぜ、『おかゆでも作ってやろう』って思えないんだろう。もう自分は愛されてないんだ、と思ったら涙が出てきました」(事務職・30代女性)
夫の家事。 それは「愛の証」 だが、夫には夫の言い分もあるに違いない。
「オレの分だけね?」と確認して怒られた男性は「2人分なら2人分と先に言ってくれれば、それですむ話じゃないか」と思うだろうし、ポテチ袋を捨てない男性も「後片付けはまとめてやる主義なんだよ、自分のやり方を押し付けるな」と反論するかもしれない。おかゆを作らない夫は「作れなきゃ、そう言えばいいじゃないか。こっちは気を使ったつもりなのに」とむっとしているのではないか。
だが、彼らは重要なことを見逃しているようだ。3番目の女性が語っているように、じつは妻たちの怒りには裏がある。彼女たちにとって「夫の家事」とは自分への愛情表現のひとつなのだ。
女性は男性より、「非言語的情報」に対して敏感だと言われている。
これは、母性によって生み出された特殊能力といえるだろう。泣いている赤ちゃんが何を求めているか、父親にはわからなくても母親にはわかる。おむつが濡れているのか、ミルクがほしいのか、眠くてむずかっているのか――その表情やしぐさ、状況から察知できるのだ。
● 男が家で指示待ち人間になるワケ
家庭平和を保つためには、女性ももっと男性を理解する必要がある。
冒頭の氷河さんのセリフにもあった謎――「なぜ男性は家に帰ると“指示待ち人間”になるのか」――を解明しておくと、怒りもやわらぐに違いない。
謎のカギとなるのは、ペンシルベニア大学のルーベン・ガー教授の研究だ。
教授によると、男性の脳は休息しているとき、ほとんど「居眠り状態」になることがある。いざというとき天敵と闘うため、あるいは危険から身を守るため、エネルギーを蓄えようとしているのだ。
「居眠り状態」の男性は、本能的な反応をつかさどる脳幹で情報処理を行っている。当然、家事をやろうなんていう気も起きない。ぼんやりテレビを見て、ごろごろしているだけだ。
ところが女性の脳は休息中も活発に活動する。情報処理が行われるのは帯状回という、大脳辺縁系の部位で感情と情動の中枢だ。したがって、仕事から帰ってきてもなかなか「100%オフ」という状態にはなりにくい。ソファに座ってくつろいでいるときも、「そうだ、洗濯物を畳まなきゃ」「トイレを掃除しとかなきゃ」「子どもの宿題を見なきゃ」とあれこれ用事を思いつく。そして、自分からは動こうとしない夫に「信じらんない!私がこんなに頑張っているのに!」とキレるのだ。
女性の社会化が進み、妻たちは外で男性的な役割も果たすようになった。しかし、自宅では多くの女性が相変わらず従来通りの女性役を演じなければならない。一人二役をこなすストレスが怒りを招き、心の中に鬱積していく。
妻のストレスを和らげるには、夫も自宅では女形を演じるとよいだろう。「居眠り状態」になるのは、家事が終わったあと。ちょっとしんどいかもしれないが、パートナーにはニコニコしていてもらわないと、精神衛生上ますますよろしくない結果になる。
それがイヤなら、ほかの方法で思い切り愛情表現すること。妻の前でつねにスイッチを切りっぱなしだと、彼女自身が天敵と化した場合にガブリとやられかねない。ご注意あれ。
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