女の世紀を旅する
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| 2004年08月21日(土) |
アテネオリンピック,日本が金メダル・ラッシュ |
アテネ・オリンピック,日本が驚異の快進撃 2004/08/21
アテネ五輪で日本選手が驚異的な快進撃を続けている。大会第8日の二十日までに獲得した金メダルは12個。早くも前回シドニー大会(金5個)の倍以上。「2けた金メダル」の大目標も前半戦でクリアした。メダル量産のキーワードは「ニッポン復活」。かつてのお家芸が元気を取り戻した背景には、低迷期に導入した「ジュニア育成」の成果が共通点としてあげられる。
●「アテネに神風」が吹く
「復活ご三家」は水泳、柔道、体操。水泳は二十一日の競泳最終日を残して、金3、銀1、銅3。戦後、日本が参加した五輪では競泳が金ゼロの大会が8大会もあった。1大会での金3個は戦後初めて。「水泳ニッポン」と呼ばれた戦前の一九三二年ロサンゼルス大会(金5)、三六年ベルリン大会(金4)以来のブレークだ。
競泳は今回、シドニー大会の銀2、銅2を上回るメダル計5個を目指した。その目標がささやかに思えるほどの大活躍。競泳チームの上野広治ヘッドコーチは「アテネの空に神風が吹いている」と驚きながら「選手が成長し、コーチが戦術をつくって効果的な指導をしている」と分析。総合力アップを強調した。
メダル量産の主役、柔道の金8個も驚異的だ。女子が五輪に採用された九二年バルセロナ大会以降、男女合わせた柔道の金メダル数は九二年2個、九六年3個、二〇〇〇年4個。世界で勝てなくなっていた「本家ニッポン」が、徐々に盛り返し今回、一気に史上最高の好成績を収めた。
全日本柔道連盟の南喜陽女子強化部長は「何と言っていいか分からないほどうれしい。結果を出せば、一層の強化費も引き出せ、もっと強くなれる」と4年後の北京五輪への手応えも示した。
28年ぶりに男子団体総合を制した「体操ニッポン」復活も劇的だった。優勝の原動力は冨田洋之ら、街の体操クラブで育った元ジュニア選手だ。
かつて同種目で五輪5連覇を達成した体操日本男子の黄金時代は、大学や企業に支えられていた。大学スポーツが頭打ちとなり、不況で企業スポーツも衰退。地域スポーツクラブがまだ定着していない弱点を、民間の体操クラブが補ってきた。日本の塚原光男チームリーダーは、アテネでの快挙を「日本にも(ジュニアを育てる)専門クラブが育ち、全国に普及した結果だ」と解説した。
ジュニア重視は競泳、柔道にも共通している。日本水泳連盟の野口智博競泳委員は「中学、高校のころから海外での短水路大会などで、外国勢と競り合いを経験してきた選手ばかり。勝つ喜びだけでなく、負けた悔しさもばねにしている」。
低迷期の日本の競泳選手は「競り合ったら負け」が代名詞。しかし上野コーチは「勝つしぶとさが出てきた」と評価した。男子平泳ぎ2冠の北島康介や、女子自由形で歴史的な金メダルを獲得した柴田亜衣は、競り合いで勝負強さを発揮した。
柔道も山下泰裕・現男子強化部長が、九二年に日本男子監督に就任後、ジュニア世代からの海外派遣を推進した。同部長は「ジュニアも代表と同様に国際経験を積ませた。今回の好成績がその成果ならうれしい」。柔道8個目の金をつかんだ鈴木桂治は、アテネでも「手の内を知っている選手ばかり。子どものころから対戦してきた選手も多い」とジュニア期からの経験も勝因に挙げた。(アテネ共同)
【メダリストの肖像】 8/14〜21 ●8月20日 女子800m自由形 【金】 柴田 亜衣 (鹿屋体大) 決勝 8分24秒54 「自分でもびっくりだから、周りはもっとびっくりじゃないですか」
柔道男子100キロ超級 【金】 鈴木 桂治 (平成管財) 決勝 対トメノフ(ロシア) 小外刈り (一本勝) 「日本の重量級が強いというところを見せられて、良かった」
柔道女子78キロ超級 【金】 塚田 真希 (綜合警備保障) 決勝 対ベルトラン(キューバ) 後ろけさ固め 「抑え込まれた時は、一本かなと思った。でも夢中で逃げているうちに、抑え込んだ。もう意地でも離さないと思った」 塚田、オール一本で「金」…柔道女子78キロ超級 (8/21 03:59) 弱気の虫も抑え込み…塚田真希、亡父に捧げる「金」 (8/21 03:12)
女子200m背泳ぎ 【銅】 中村 礼子 (日体大) 決勝 2分09秒88 「金ではなかったけど、念願だった2分10秒を切ったし、念願だったメダルも取った。すごくうれしい」 「天賦の才」開花、泣き虫・礼子が銅メダル (8/21 03:08)
●8月19日
柔道女子78kg級 【金】 阿武 教子 (警視庁) 決勝 対劉霞(中国) 袖釣り込み腰 「2度の五輪で初戦敗退し、どうなるかとも思ったが、優勝できてよかった。2度の厳しい試練があったから、今がある。最後に担ぎ技で一本決められてよかった。3度目の正直でやっと優勝できました。」 悲運の女王、9年越しの夢かなう (8/20 03:15)
アーチェリー男子個人 【銀】 山本 博 (埼玉・大宮開成高教) 決勝 対マルコ・ガリアッツォ(イタリア) 109-111 「日本のヒーローになれなくてもいい。純太郎のヒーローになりたい」 「年もとったし、メダルは意識していなかった。ただ、子どもに恥じないプレーをしようと思っていた」 息子のヒーロー目指し…アーチェリー山本20年目の銀 (8/20 02:43)
●8月18日 男子200m平泳ぎ 【金】 北島 康介 (東京SC、日体大所属) 決勝 2分9秒44(五輪新) 「すごく冷静に泳げたと思う。周りを見る目があった。2冠? そんなのは意識していない」 北島「金」2個目、男子200m平泳ぎ五輪新(8/19 01:44)
柔道女子70kg級 【金】 上野 雅恵 (三井住友海上)
決勝 対ボス(オランダ) 袖釣り込み腰 「前に前に出る、自分の柔道だけを考えました。私の優勝をみんなが喜んでくれてうれしい」
柔道男子90kg級 【銀】 泉 浩 (明大) 決勝 対ズビャダウリ(グルジア) すくい投げで敗退 「決勝で負ければゼロになる。親も一番いい色のメダルをかけてほしかったでしょう」
女子200mバタフライ 【銅】 中西 悠子 (枚方SS)
決勝 2分8秒04 「信じられないです。ラスト50からが勝負だと思って、思い切っていった。メダルにこだわったのでよかったです」
●8月17日 柔道女子63キロ級 【金】谷本 歩実 (コマツ)
決勝 対ハイル(オーストリア) 合わせ技 「負ける気が一度もしなかった。完璧(かんぺき)な金メダルです。最高にうれしい」 オール一本勝ちで「金」(8/18 02:06)
男子200mバタフライ 【銀】 山本 貴司 (近大職員)
決勝 1分54秒56 「ずっと夢にまで見ていた五輪のメダルで最高にうれしい。フェルプスを抜こうと死ぬ気で泳いだ。行く前から金を狙っていた。思い切りやって出た結果なので、最高の気分です」
●8月16日 【金】 体操男子団体 (28年ぶりの金) 決勝 173.821点
中野大輔(九州共立大)「夢じゃないかと思うけど、夢じゃないと思いたい」 塚原直也(朝日生命)「父(元体操金メダリスト・塚原光男)に言いたい言葉は、『やっと取れました。3回かかりました』」 冨田洋之(セントラルスポーツ)「チームが一丸となったことが、金メダルにつながった」 鹿島丈博(セントラルスポーツ)「今までやってきたことが間違いじゃなかったのがうれしい」 水鳥寿思(徳洲会)「最後の鉄棒は祈る気持ちで見ていた」 米田功(徳洲会)「鉄棒勝負だと思った。練習通りにやれば大丈夫と思っていた」
男子100m背泳ぎ 【銅】 森田 智己 (セントラルスポーツ、日大所属) 決勝 54秒36 「ラスト10メートルの勝負だと言われたので、焦らないよう最後にかけてました。もっと速くなって、コウちゃん(男子平泳ぎの北島康介)だけじゃないのを見せていきたい」
●8月15日 男子100m平泳ぎ 【金】 北島 康介 (東京SC、日体大所属) 決勝 1分0秒08 「気持ちいい。チョー、気持ちいい。やる前からハンセンとの勝負だと思った。強い気持ちで、スタート台に立った。応援してくれた人たちに感謝したい。鳥肌ものです。200メートルでも、最高のパフォーマンスを見せたい」
柔道男子66kg級 【金】 内柴 正人 (旭化成所属) 決勝 対クランツ(スロバキア) 小外刈り 「(決勝は)もっと接戦になると思っていたから。自分を信じた結果が金メダル」
柔道女子52kg級 【銀】 横沢 由貴 (三井住友海上所属) 決勝 対セン東妹(中国) 横四方固めで敗退 「金じゃないと意味がない」
●8月14日 柔道女子48kg級 【金】 谷 亮子 (トヨタ自動車所属) 決勝 対ジョシネ(仏) 優勢勝ち 「シドニーの時よりも何倍もうれしい。夫はあらゆる面で応援してくれた。谷亮子として五輪王者になれてうれしい。脚の回復は7割ぐらい。痛くても、試合をすると決めていた」
柔道男子60kg級 【金】 野村 忠宏 (ミキハウス所属) 決勝 対ヘルギアニ(グルジア) 優勢勝ち 「柔道一家に育ち、減量もほとんど必要ない。どうしようもない自分だけど恵まれていた。今回はみんな笑顔で喜んでもらえるように感謝の気持ちを持って臨んだ」
メダル獲得総数 メダル獲得数 順位 国 金 銀 銅 総メダル数 合計順位 1 アメリカ 17 12 11 40 1 2 中国 15 11 10 36 2 3 日本 12 4 3 19 5 4 オーストラリア 8 5 8 21 4 5 ロシア 5 11 12 28 3 6 イタリア 5 6 3 14 9 7 ドイツ 5 5 9 19 5 8 フランス 5 5 6 16 7 9 ウクライナ 5 1 2 8 12 10 韓国 4 8 3 15 8 11 トルコ 3 0 1 4 17 12 オランダ 2 5 5 12 10 13 ハンガリー 2 3 1 6 14 14 スロバキア 2 2 1 5 15 15 ルーマニア 2 0 2 4 17 15 タイ 2 0 2 4 17 17 ギリシャ 2 0 1 3 21 18 イギリス 1 4 4 9 11 19 ポーランド 1 2 1 4 17 20 ベラルーシ 1 1 3 5 15 21 南アフリカ共和国 1 1 1 3 21 21 ジンバブエ 1 1 1 3 21 23 エチオピア 1 1 0 2 29 23 グルジア 1 1 0 2 29 25 ブルガリア 1 0 2 3 21 26 スイス 1 0 1 2 29 27 アラブ首長国連邦 1 0 0 1 39 28 オーストリア 0 3 0 3 21 29 キューバ 0 2 5 7 13 30 朝鮮民主主義人民共和国 0 2 1 3 21 31 スペイン 0 2 0 2 29 32 クロアチア 0 1 2 3 21 32 チェコ 0 1 2 3 21 34 カナダ 0 1 1 2 29 34 インドネシア 0 1 1 2 29 36 インド 0 1 0 1 39 36 カザフスタン 0 1 0 1 39 36 ポルトガル 0 1 0 1 39 36 セルビア・モンテネグロ 0 1 0 1 39 40 アゼルバイジャン 0 0 2 2 29 40 ベルギー 0 0 2 2 29 40 ブラジル 0 0 2 2 29 40 デンマーク 0 0 2 2 29 44 アルゼンチン 0 0 1 1 39 44 コロンビア 0 0 1 1 39 44 エリトリア 0 0 1 1 39 44 エストニア 0 0 1 1 39 44 イスラエル 0 0 1 1 39 44 モンゴル 0 0 1 1 39 44 スロベニア 0 0 1 1 39 44 台湾 0 0 1 1 39 44 トリニダードトバゴ 0 0 1 1 39
〔 野球 〕 【 長嶋ジャパン快進撃,4連勝中のカナダに圧勝】 ★ アテネ五輪第8日の20日、野球1次予選の日本−カナダ戦が行われ、9−1で日本が快勝した。日本とカナダはともに4勝1敗となった。
日本は1回、高橋(巨人)が2点本塁打を放ち、先制した。その後もカナダの先発ジョンソンを攻め、2回には先頭の谷(オリックス)が左翼席にたたき込み追加点。4回には和田一(西武)の2点本塁打も飛び出すなど、着実に得点を重ねた。 先発の和田毅(ダイエー)は初回を三者凡退に抑えるなど、落ち着いた立ち上がり。7回まで、被安打3、奪三振7とカナダ打線を押さえ、8回から岩瀬(中日)にマウンドを譲った。 カナダは最終回、3番手の小林(ロッテ)から長短打で1点を返した。
他の試合では、豪州(3勝2敗)11−6ギリシャ(5敗)、イタリア(1勝4敗)5−4台湾(2勝3敗)、キューバ(4勝1敗)9−2オランダ(2勝3敗)となった。 (08/21)
★ カナダ戦に快勝した野球の日本代表チームの宿舎に、長嶋監督のコメントがファクスで届いた。代筆した長男の一茂氏によると、いつもより興奮して試合観戦していたという。内容は次の通り。
「快勝でした。流れを引き込む意味でも、(高橋)由伸の先制パンチは大きかった。先発・和田(毅)君もいいリズムで投げていた。あのリズムだと守りやすいし、攻撃のときのリズムも作れる。諸君たちは今まで経験したことのない充実した毎日を送っていることと思います。これは野球人として最大の喜びです。残り4試合。これからが本当の正念場になるでしょう。先発メンバー以外の選手も、行ける準備は常にしておいてください。一寸先は何が起こるか分かりませんから」
(08/21)
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