風のひとり言
kaze



 

15歳を迎えた娘に、どうやら気になる男子がいる様子である。
毎日のように帰宅しては、娘の口から彼の名前が飛び出すものの、
出てくるのは悪口ばかり。
やれ「睨まれた」だの、「意地悪された」だの。
しかし話を聞いてみると、やはり『気になる存在』であることは間違いないようだ。

ところが先日の父母会に出席した女房が、衝撃的な話を聞いてきた。
なんとその彼が、5月中旬に行われる修学旅行を最後に、
親の転勤に伴ってニューヨークへ行ってしまうというのである。
しかも、本人がまだ友達にも知らせたくないと言う理由から、
親同士の間で口止めがなされたのである。

この話には正直困惑してしまった。
修学旅行でも同じ班員として過ごす娘のことを考えれば、
本当のことを伝えてやり、良き思い出を作ってほしいと思ってしまう。
一方で親同士の「言わないで」という約束と、
彼の「まだ言いたくない」という気持ちが頭をよぎってしまう。

女房と何度もこの件で話し合い、そして幾人かの友人や同じ世代の姪などにも相談してみた。
結果は・・・全員が同じ答え「伝えてやる」であった。

娘は嘘をつけない性格。
というよりは隠し事が顔に出てしまうタイプ。
そこの部分に若干の不安を感じながらも、結局は娘に伝えた。

話を聞いた娘はあくまでも「好きじゃない」と言い張りながらも2階の自室にこもり・・・
数十分後、涙目で「私ってわかりやすいの?」と聞いてきた。
「俺の娘だもんな・・・」

その後、彼と一緒に学校生活を送れる日数をカウントダウンし始めた娘に対し、
「自分の気持ちに素直になって、告ってしまえ」と、
あるいは、「去っていく彼のために、クラス全員でしてあげる事、その発起人になれ」
と何度言ったことか。。。
世間一般的に、我が娘に対し「告ってしまえ」という親がどのくらいいるのか定かではないが、
あまりいるようにも思えない。。。
がしかし、行動せずにほっておく事は、後々後悔の念にかられてしまう。
後悔ほどつまらない感情はない。
後悔するくらいなら、行動するほうが、余程自分自身のためにもなる。
自分が今まで過ごしてきた人生で、数多くの後悔をしてきたことを振り返ってみると、
だからこそ・・・娘には後悔して欲しくないと思ってしまう。

「今」この一瞬一瞬を大切にする気持ち。
人に対して思いやりをもって接する気持ち。
今回のことに限らず、そうした気持ちをこれからも育んで欲しいと願うのは、
娘に中学時代の自分を投影している、己の反省なのかもしれない。





2004年04月28日(水)
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