風のひとり言
kaze



 訪朝

小泉君による北朝鮮訪問、日朝首脳会談が終わった。
平壌宣言として、日朝国交正常化交渉再開の調印を行い、首相は帰国した。
まずは無事に帰国した事を喜ぶべきなのか。

「拉致事件解明をなくして、国交正常化交渉再開はありえない」
そう言いきり、毅然とした態度で乗り込んだが、
日本首相として初めての訪朝の結果は、悲惨なものであった。
拉致された人のうち既に8人が死亡、生存者5名・・・
この結果を知らされた昨夜、マスコミは一斉に報道、日本国民は怒りと悲しみに包まれた。

この拉致問題。
確かに訪朝前から比べれば前進である。
とりあえず伝聞とは言え安否の確認と、拉致の事実を認めたことは評価できる。
が・・・果たして政府はそれを信じているのだろうか?
一体いつ、どんな形で亡くなられたのか?
死亡を確認したというのは、
相手の言い分をそのまま鵜呑みにしているだけではないのだろうか?
「病気や災害で亡くなられました」と言われたらしいが、そんなあやふやで満足できるのか?
そして極めつけ・・・
日朝国交正常化交渉再開にサインをしたという事は、
小泉君の中で「拉致事件の解明」として終止符を打ったのか?
これは中途半端な途中経過であり、決して一件落着ではない。完全な解決などでは断じてない。
「死亡者がいたことは痛恨の極みです。
被害者遺族の方々に対して、かける言葉も見つかりません。」
そういう小泉君は、その被害者の気持ちを本当に考えているのだろうか?
言われたそのままを鵜呑みにして「はいそうですか」で引き下がるのなら、誰にでもできる。
これでは遺族は勿論のこと、国民だって納得できない。
遺族の気持ちを第一に考えるとすれば、
当然死亡日時・理由は、確認すべき重要課題だろう。
小泉君の愛息子こーたろーが、同様に拉致され某国で死んだと聞かされた時に、
詳細を聞き出すのが普通の反応ではないか?
遺骨を持ち帰る事だって考えられるはずだ。

遺族の1人のインタビューに、
「目撃証言など過去に名前の上がった人間ばかりが死亡とはおかしい。
これは証拠隠滅のために殺されたのではないかという疑念が湧く」とあった。
これが率直な感想で、誰もが思っていることを代弁していると思う。
が、小泉君はそう思わなかったのだろうか?
勿論相手国も「殺した」までは認めるはずがない。
であれば、同席上で徹底的な死亡確認その経緯を要求するべきであるし、
その結論を待ってからサインするべきでなかったのか。
余談だが・・・上記のインタビューは、21時のニュースでは放送されていたが、
22時以降のニュースではカットされていたように思う。
これは・・・問題発言なのか?政府の圧力かマスコミの自主規制か?

それにしても、何故今になってなのだろうか。
何故小泉君が乗り込むことが出来て、過去の歴代首相には出来なかったのか。
つまり日本政府として、今までに何故出来なかったのか?何をしてきたのか?
遺族の沈痛な叫びが蘇る。
「日本政府にも責任がある」
当然である。それでいながら、このまま国交正常化交渉を本気で進めるのだろうか?
このまま、日本国民の声を無視し、米を供給し、資金を援助し、技術を援助するのか?
とてもじゃないが納得できる話ではない・・・
せめてサインはしないで帰国するくらいの気概を見せて欲しかったと思ったりもする。
一旦持ち帰る・・・事くらいあっても良いだろう・・・

そして日本政府は今回の先方の発表に一切の疑念を持っていないのだろうか。
自国の行なった行為を国営放送で発表しない事をどう思うのか?
明らかに情報操作が行なわれているとしか思えないだろう。
南でははっきりと放送していたようで、恐らくはいずれ国民も解ることだとは思うものの、
既に隠蔽を考えているではないか・・・それが明白だけに、信用する事など出来ない。
そして、数々の言い訳・・・
拉致事件当時の現主席は、軍部の最高指導的立場にいたわけで、それを知らないはずがない。
全ての事を父親の政権に押し付け、責任転嫁をしているだけではないか。
「不審船」問題も「一部の特殊部隊が行なった事」って、軍がそこまで自由に出来た国だったか?
そこまで「知らない」で通されて、「そうですか」と納得などするなよ<首相&政府
(だったら・・・田原総一郎でも連れてけよぉ〜<朝まで徹底討論してもらって・・・)

いずれにしても今回の会談が成功したとは思えない。
前進であることは認めつつも、正常化交渉再開をするだけの実りがあったとも言えない。
「毅然とした態度で臨む」と言った小泉君の結果がこれでは、中途半端な感は否めない。
このまま国交正常化交渉を進めて行く事を政府が本気で考えているとすれば、
国民全て納得ができるはずがないと思う。
これで小泉君のパフォーマンスは失敗。
今一歩のところで、国民を敵に回したようなものだと感じるのは自分だけだろうか?

まぁ・・・実際正直なところ・・・
歴史をひも解いてしまうとかつての戦争において、数十万という某国民を強制的に拉致し、
虐殺を繰り返したのは、この日本である。
それらの問題が底辺にある以上、政府としては精一杯なのかもしれないが・・・




2002年09月18日(水)
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