観能雑感

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観能雑感
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2007年03月25日(日)

宝生会　春の別会能　第1日

宝生会　春の別会能　第1日　宝生能楽堂　PM12：00～

　咳については治療継続。咳喘息らしい。以前から気になってはいたが。持病についても安定せず、抗アレルギー剤も服用中で観能には極めて不向きな状態。案の定常に半覚醒状態だった。
　見所は7割程度の入りで別会としては空いていた。中正面後列正面席寄りに着席。隣席の人がなぜこの季節にここまでと思うくらい汗臭くて閉口。
　常時ボンヤリしていた上に時間が経ってからの記述のためごく簡単に。今後数ヶ月は諸事情で観賞記録を書く余裕がなくなるため、簡単な記述が続くと思われる。

能　『鉢木』
シテ　當山　孝道
シテツレ　佐野　登
ワキ　宝生　閑
ワキツレ　大日方　寛
間　小笠原　匡、住吉　講
笛　中谷　明（森）　小鼓　観世　新九郎（観）　大鼓　柿原　崇志（高）
地頭　髙橋　明

　橋掛かりを歩んでくる閑師の姿に背景の雪と風格を見た。シテの謡い出しの「降ったる雪かな」は雪の量感と厳しい寒さが凝縮されていた。以下、陋屋での両名のやり取りは重厚な中にそれぞれの心の内が感じ取れ、品位があり引き締まった舞台だった。この方の直面物は気分よく観ていられる。

狂言　『文相撲』
シテ　野村　萬
アド　野村　扇丞、小笠原　匡

　冗漫であまり好きな曲ではないが、シテが「紙に書いたものなど何の役にも立たない」と相撲の奥義が記された書付を破り捨てるところは、余人には出せない味わいで秀逸。

仕舞
『田村』キリ　　辰巳　満次郎
『三山』　　金井　雄資
『鞍馬天狗』　武田　孝史

能　『当麻』
シテ　佐野　萌
シテツレ　東川　光夫
ワキ　工藤　和哉
ワキツレ　梅村　昌功、野口　能弘
間　野村　万蔵
笛　寺井　久八郎（森）　小鼓　亀井　俊一（幸）　大鼓　安福　健雄（高）　太鼓　金春　惣右衛門（春）
地頭　近藤　乾之助

　中将姫が一夜にして蓮糸で曼荼羅を織り成し、阿弥陀に導かれて昇天したという当麻寺曼荼羅伝説に依拠した曲。今回初見。
　前シテと後シテが異なる人物であり、前シテの化尼の本性は阿弥陀如来。前場終了直前、一瞬にして弥陀に変るのは至難の技。後シテの面は泣増。神秘的で神々しく、見れば見るほど見事なもので、人とは明らかに異なる、高次元の存在なのだと感じた。

仕舞
『経政』キリ　　登坂　武雄
『釆女』キリ　　髙橋　章
『鉄輪』　　近藤　乾之助

　髙橋師、近藤師は限られた時間の中にその曲の世界を構築していて引き込まれてしまった。

能　『是界』白頭シテ　水上　輝和
シテツレ　髙橋　亘
ワキ　高井　松男
間　山下　浩一郎
笛　藤田　次郎（噌）　小鼓　幸　正昭（清）　大鼓　大倉　正之助（大）　太鼓　助川　治（観）
地頭　今井　泰男

　小書付きのため後シテの面は癋悪尉という髭付きの白い癋。重厚で風格があったが、シテの演技はそれらに拮抗しきれていないように感じた。

こぎつね丸