2011年11月21日(月) |
新美南吉の『うた時計』 |
ちょっと前にツイッターで、『国語の教科書に載っていた中で印象深かったお話』というのが話題になって。 で、私が思い出したのは、『うた時計』という作品でした。 いつの教科書だったかも覚えてないし、タイトルもうろ覚え、作者も不明で、どんな内容だったかも、実はよく覚えてなかったんですが。 内容も覚えてないのになんで印象深かったのかというと、その作品に出てきた男の子の名前についてのエピソードだけを、鮮明に覚えていたからです。
私が覚えていたのは、これだけ。 「おじさんと男の子が出会って、歩きながら会話をしている。男の子が『廉』と名乗り、『清廉潔白』の『廉』だよ、と説明する」 あと、男の子による、清廉潔白という言葉の解説。
その、『廉』という名前が、清廉潔白という由来込みで、すごく印象的だったのです。
『レン』というのは、今でこそ赤ちゃんの名付けランキングの上位に入るようなポピュラーな名前ですが、当時としては、すごくモダンでシャレた感じがしました。 しかも、そのお話は、当時から見てもかなり昔の田舎が舞台のお話だったのでよけいに、昔の田舎の少年の名前としてはずいぶん現代的だなあと思い、インパクトが強かったのです。 実際、作中でも、相手のおじさんに、「レンペイでもレンイチでもなくて、ただのレンかい?」という感じで訝られているので、その作品の時代には、やっぱりわりと予想外の、珍しい名前だったのではないかと。 また『清廉潔白』という難しい四字熟語も、たぶんその時に初めて知って、たぶん当時の自分の価値観に合ったのでしょう、好もしい言葉だと思ったので、それも込みで、なおさら印象に残っていたのでした。
当サイトの作品を読んでくださっている方はもうお気づきと思いますが、作者も内容も忘れたこの物語が、その後、数十年?を経て、里菜の赤ちゃんの名前『廉』の由来となったのです。
で、昨日、やっぱりその作品の内容や作者がふと気になって、検索してみたら、青空文庫に全文が掲載されているのを発見しました。
→http://www.aozora.gr.jp/cards/000121/files/1753_18682.html
新美南吉の『うた時計』という作品だったんですね。 内容も、そういえばこんな話だったなあ、程度に思い出しました。 懐かしかったです。
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