2010年03月23日(火) |
『セイレーン』創作裏話 |
『セイレーン』に拍手くださった方、ありがとうございます!
今日は、『セイレーン』の創作裏話です。 前回の日記で、『舞台は実は異世界の全寮制魔法学校』と、ちらっと書きましたが、その、全部切り捨てちゃった裏設定の詳細を、意味もなく公開。
ものすご〜く(たぶん小説本編より)長いです(^^;) ブログだったらここで折りたたむところだけど、ここ、折りたたみ機能は無いので、このままで……。
さて、ここは、この世界でいえば、ロシア〜東欧あたりを中心に北欧あたりまで取り込んだ広大な王国……だと思います。(あまりちゃんと決めてない) 王様はいるけど絶対王政じゃなく立憲君主制みたいな感じ?……なんじゃないかと思います。(あまりちゃんと決めてない)
で、舞台になってる学校は、実は、なんと(笑)、ストーリーとは何の関係もないのに、全寮制の魔法学校みたいなところなのです。 地脈の力を利用した風水系の魔法なんじゃないかと思います。 あまり強大な広範囲な魔法ではなく、かなり限定的な、小規模で日常的・実用的な魔法で、この世界では『魔法』とは呼ばず、『技』とかなんとか呼んでいると思います。 だから、使い手は『技士』。
この『技』の力にはいくつかのパターンがありますが、代表的なものは、ごく局地的に天候を操る術で、それをマスターした人は『操候技士』と呼ばれています。 登場人物たちは全員、その、『操候技士』を目指す同じ学部の学生たちです。 他にどんな種類の技・学部があるのかは、考えてありません(^^ゞ
学生たちは、ここで、『技』と併せて、医学なり農業なり土木なり鉱業なり、各自の『技』能力に関係の強いジャンルの最先端の産業技術を学び、国家公認の『技士』として、産業振興の指導者的な役割を担って活躍する道が開けています。
『技』の能力は生まれつきのもので、学生たちは、全国からその能力を見いだされて学寮に集められ、全額国費で教育を受けます。 順当に卒業できれば、将来は、国家公務員確定です。 貧しかろうと辺境の出だろうと差別なく国費で最高の教育を受けさせてもらっているため、祖国のために役立とうという高い志と、国の繁栄を担うべきエリートとしての強い自負を持っています。
学校は、王都とはいえ、かなり郊外の、森や荒野に囲まれた広大な敷地の中にあります。 なぜそんなふうに隔離してあるかというと、未熟な生徒の力が暴走した時に、市街地に被害が及ばないためです。 特にその生徒が、強い先天能力を持った操候技士候補の場合、周囲にとんでもない天候異変を起こしてしまう虞れがあるので、緩衝地域が設けられているのです。 休日には、外で魔法を使わないことを前提に、自由に外出できます。
『嘆きの森』も緩衝地帯の一部で、学校の敷地内です。 ここが立ち入り禁止なのは、地脈の力が集まってるパワースポットがあって、未熟な魔法使いが立ち入ると危険だからです。 ちなみに、学寮がここに作られたのも、このパワースポットがあるからでしょう。
立入禁止の柵ではなく魔法的な結界で囲ってあるのは、エリート候補といえど悪戯盛りの学生たちなんてものは柵があれば破ったり乗り越えたりするに決まってるからと言うだけじゃなく、『技』の力の全くない一般人は、入っても別に危険じゃないからです。 『技』の力のある人だけに反応して発動する結界にしてあるのです。 『技』の力のない用務員さんなどは、普通に立ち行って手入れや管理をしていることと思われます。
その結界が、アリョーナたちが簡単に突破出来るような低レベルなものなのは、その結界を越えられるほど勉強の進んだ優秀な上級生なら、入っても危険じゃないからです。 中途半端に潜在能力だけあってまだ訓練の出来ていない下級生だけが危険なので、上級生の立ち入りは、こっそり&お行儀よくしている限り、実害のない悪戯として、だいたいお目こぼしされています(たまに、大勢で入り込んでどんちゃん騒ぎをやらかしたりすると、さすがに大目玉をくらいます)。
そんなわけで、あの沼は、チョイ悪な先輩たちから、結界を通るだけの実力があると見込まれた後輩たちに、『学校の怪談』的なセイレーン伝説と共に代々こっそり語り伝えられて知る人ぞ知る、ヒミツの肝試しデート・スポットなのです。
ここの卒業生の進路としては、王都の技士団に所属して全国各地を定期巡回したり必要に応じてあちこちに臨時派遣されたりする中央勤務の道と、技士が不足している辺境地域などに国の委託を受けて駐在する道、さらに、長男長女などで家を守らなければならなかったり、地元のために働きたいという強い希望がある場合は、故郷に戻って地域の産業振興に尽くす道もあります。
アリョーナは、スールと破局したことで三番目の道を選びましたが、もともとは、どの道を選んでも良い立場でした。
で、いずれの道を選ぶにしても、卒業後、数年間、お礼奉公を兼ねた実地研修を積むことになります。 卒業した学部や将来の進路希望によって違ってきますが、辺境に駐在する技士の元に送り込まれて助手として実務経験を積むことが多いです。
で、その際に、二人で同じ研修先に配属してもらえる夫婦枠があるので、何年も離ればなれになるのが嫌な恋人同士の学生たちは、在学中に学生結婚しておくか、卒業式と前後して学校敷地内の聖堂などで結婚式を挙げることがよくあります。 スールとエンニも、それをやったわけです。 エンニのほうが一級下なのですが、そのへんは、何か調整の方法があるのでしょう。 (……ていうか、エンニを、下級生ではなく中途入学の同級生にしておけば良かったのか!)
この学校では、学生同士の男女交際や学生結婚は特に禁止されておらず、特に結婚は、むしろ歓迎な感じです。 というのは、魔法の力の発現には遺伝が関係するらしいので、能力者同士が結婚すると能力を持つ子供が生まれる確率が比較的高いというのと、もう一つ、技士同士が夫婦だと、夫婦単位で辺境勤務させたり、転勤させたりしやすいからです。
技士は基本的にみんな国家公務員ですが(たまにはモグリのフリー技士もいる)、駐在型の技士は転勤有りと転勤無しのコース別人事になってて、給与体系は違うけど途中で変更も出来、赴任先で地元の人と結婚しちゃった人は転勤無しコースに変更してしまうことが多いので、転勤させやすい夫婦技士は貴重なのです。
……と、こんなにいっぱい裏設定があって、書いた話が、設定とほとんど何も関係ないアレ……(笑) でも、この裏設定がなければ、私、お話を書けなかった気がします。 書き終えた今思えば、これらの設定が無くても成り立つお話なんですが、それこそ現実世界の大学生でも良かったんですが、でも、こういうことをいろいろ想像したからこそ、自分の中でお話が動き出したのです。
あ、あと、もう一つ裏話。 ヒロインの名前の由来。
『アリョーナ』という名前は、私が昔、図書館で『おはなし』(素話・語り聞かせ)をやっていた頃の十八番だったロシア民話『アリョーヌシカとイワーヌシカ』から取りました。 悪い魔女に騙されて首に石を結びつけられて川に沈められてしまう女の子の名前です。 まんまアリョーヌシカだと一目瞭然ロシア人すぎるので、アリョーナにしてみました。(『アリョーヌシカ』は『アリョーナ』の愛称。……たぶん) アリョーナなら、はっきりとロシア風異世界と銘打ってるわけじゃない漠然とした『異世界ファンタジーの国』にいてもおかしくないかと。
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