時々管理日誌
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2005年09月14日(水) 入水鍾乳洞体験記・4「巨大夫の試練」

さて、細長い通路を、足首まで水に浸かり、時々鍾乳石に頭をぶつけたりしながら中腰で進むこと、しばらく。

通路には、手すりだの縄だのは全くありませんが、要所要所には、壁に沿って点々と、クリスマスツリーの豆電球くらいの照明が並んでいる箇所もあります。
案内板はほとんど無いので、道が二手に分かれるところで、どっちが順路が判らなかったことも幾度か。
結局、どっちに行ってもその先で合流するのでしたが(だからわざと雰囲気作りのために案内板を付けてないのか?)、選んだ道によって、進みやすい方と進み難い方があったり。

また、頻繁に、洞窟奥から引き返してくる人たちの列とすれ違います。
たまたま広い場所ですれ違える時は問題ないのですが、人一人通るのがやっと通れるような場所では、その都度、どちらかが壁に張り付いたり岩だなの陰にしゃがんだりして、やりすごします。
不自然な中腰で、膝まで水に浸かってなので、向こうの列が長いと、やりすごすのも大変(T-T)
でも、向こうから来る人に、いろいろ、先のコースについての情報を教えてもらうことが出来ます。

そのうち、最大の難所が出現!
いえ、普通一般には、一番の難所はまだまだ先のほうらしいのですが、我が家にとっては、わりと最初のほうにあったのあの場所が一番の難所だったのです。
しかも、『我が家にとっては』といっても、主に、夫にとってだけ……。

そこは、天井から大きな鍾乳石が下がり、下にも大きな岩の出っ張りがある、岩に挟まれた狭い隙間でした。
あんまり狭い隙間なので、普通なら、とても人が通れる場所とは思えません。
もし、前に居た人たちみんながそこを越えて先に進んでいるという事実をしらなければ、『ここは行き止まりだ』と思って、引き返してしまったかもしれないくらい。
天井が低いのは、かがむなり這うなりすればなんとでもなるのですが、そこは、かがんだ時にちょうど頭から肩、胸に当たるあたりが狭く、しかも空間が斜めになっていて(足元は足元で這って通れるほどは広くない)、その狭い隙間に、斜めにした身体を滑り込ませないといけない感じなのです。頭の先から足の先まで、全部狭いところを通らないといけないのです。

でも、身体が小さい子供たちは、平気で岩と岩の間をすり抜けて、どんどん先に行ってしまいました。
しかし、ここ、大人はちょっときついぞ……。
覚悟を決めて、岩の隙間に身体を押し込んだら、あれ? 肩がつっかえた!
肩が通るように姿勢を変えたら、今度は頭が通りません!
あれ? あれ? ここはいったい、どうやってすり抜けたらいいの?
途中でひっかかってしまって、前にも後ろにも行けないんですけど……?

思わず、
「あれっ? ここ、どうやって通るの? 通れないよ?」と弱音を吐いたものの、でも、実際に、みんな、ここを通って先に言ってるんですよね。
みんな通ってるんだから、私だって通れるはず……。
ちなみに私は身長157センチ、体重44キロと、わりと小柄です。
他のみんなが、男の人たちも通った場所が、私に通れないはずはない……。

なんとか気を取り直して、前を歩いている息子を呼び止めてロウソクを預かってもらい、濡れた岩壁にべたっと顔も身体を押し付け、少しづつ身体の向きを変えたり場所をずらしたりしてみているうちに、何とかすり抜けました……。

たぶん、私が最初、そこを通り抜けられないと思ったのは、ロウソクが邪魔だったのの他に、小柄でも身体が硬いのと、その時点ではまだ服を濡らすまいという自制が働いていたため、岩に身体をべたっと押し付けることを無意識に避けてしまったからだと思います。
で、普段なら、それで通れなければ『ここは通れない場所だ』と諦めてしまうところを、みんなが通っているからということで、覚悟を決めて開き直ったら通れたらしいです。

でも、問題は、後に続く夫です!
夫は、すごくデカいんです!
身長は172センチと、そう人並みはずれて高くはありませんが、体重は90キロ近く!(これでも前よりずいぶん痩せて、数年前は100キロ近かった!)
しかも、ただ肥っているだけでなく、元々の骨格が、胸郭の直径が大きい(しかも左右の幅だけでなく前後の奥行きが大きい)鳩胸体型で、胸囲1メートル!(←この『鍾乳洞つっかえ事件』の後、好奇心で計らせてもらった)
ウェストも、90センチ超!(←ちなみに夫にとっては、胸囲より胴囲のほうが僅かでも小さいということは大変重要なことらしい……)
肩幅も広く、肩の厚みも非常に厚いです。
しかも、体格が良いだけでなく、なんといっても、頭がデカい! 人並みはずれてデカい!

脂肪なら、多少はスペースにあわせて変形・移動したりもしそうだけど、肋骨や頭蓋骨は、都合にあわせて潰れたり変形したりは出来ません。
そして、この隙間は、お腹周りより、頭・肩・胸が狭いところを通らなければならないのです……。
頭が大きい&肩厚い&胸囲大きいの、三拍子揃ったこの巨大夫は、私でさえ通れないかと思ったこの隙間を、果たして通れるのでしょうか……。
どう見ても、通れそうも無いんですけど……。
本人も大変不安そう。

でも、ここまで来たら、行くしかない!
すぐ後ろには次の人が並んで待ってるし。
夫が先に進まないと、ここは片道一方通行、追い越しも迂回もできなくて、後続の行列がどんどん溜まってしまうのです。
とりあえず、私が、こちら側から手を伸ばして、夫のロウソクを預かります。

夫、覚悟を決めて、隙間に突入!
が、やっぱり、思ったとおり、すぐにつっかえた!
濡れた岩と岩の間に思いっきり顔を押し付けて、なんとかずりずりと脱出しようとする!
あ、危ない! メガネが取れた!
水に落ちる直前のメガネを、夫、なんとか自力でキャッチ!
ああ、危なかった……。ここでメガネを水に落としたら、下は川で、かなりの速さで流れているから、へたすると流されてしまうだろうし、そうしたら、何しろ薄暗いので、探すことは困難だったでしょう。
というわけで、邪魔になるメガネは私が預かることにします。

メガネを外して、再度トライ。
ところが、前にも後ろにも動けません!
後で本人が言うには、(ああ、俺はここでつっかえて死ぬのか……)と、ちょっと本気で思ったとのこと(笑)。

とりあえず、いつのまにかどんどん先に行こうとしていた子供たちを、
「ちょっと待って! お父さんがつっかえた!」と呼び止めておいて、引き続き、夫の奮闘を見守ります。
あちこち身体の向きを変え、ずりずりと岩をこすって奮闘することしばらく。
夫は、なんとか無事、隙間を抜けることが出来ました。
ああ、よかった……。でも、帰りにまたここを通るのが心配……。
夫、病気&ダイエットで多少は痩せた後でよかったですよ。
数年前の、体重100キロ時代だったら、本当にここは通れなかったに違いない……。

夫は、解放の喜びに浸りながら、
「ここ、ボブ・サップとか、絶対通れないよね! ボブ・サップ立ち入り禁止!」と冗談を言っていましたが、後で、このあいだ紹介した鍾乳洞体験談サイトで見たところ、体重100キロ(だったかな?)(ごめんなさい、80キロでした……。でも、身長は夫より低いし、一般に女性のほうが骨が軽いから、それで80キロということは、脂肪の量はたぶん夫より多いと思う)の女性が通れたという体験談とともに「この鍾乳洞はコニシキでも通れると言われている」と書いてありました……。
でも、80キロ女性はともかく、コニシキのほうは嘘だと思う!
ていうか、本当にコニシキがあそこに来たことがあるわけじゃなく、誰かが、「たぶんコニシキでも通れるだろうと思う」と言っただけだろうし。

身長が高いのは、まあ、しゃがめばなんとかなるだろうし、お腹周りの贅肉も、まあ、なんとかなるかもしれないと思うけど、胸囲が大きい人はダメだと思うんです。
コニシキやボブ・サップじゃなくたって、曙だって貴乃花だって朝青龍だって高見盛だって、寺尾関でさえ、あそこは通れないと思います!(←お相撲には興味ないのでお相撲さんの名前はこれしか知らない)
女の人でも、超巨乳の人とかは通れないかも……。

続く。


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