時々管理日誌
時々だけ書く管理人の日誌です。
サイト運営や創作について、日々の雑感など。

2004年09月06日(月) 私のオンライン小説界参入記

一昨日の日記で、私がはじめてオンライン小説サイトを訪ねたきっかけは『朝日パソコン』の特集記事だったと書きましたが、『週刊アスキー』の間違いでした。ごめんなさい。
ついでに、私のオンライン小説界参入の顛末を書いてみようと思います。

さて、私がオンライン小説界を訪れるきっかけとなった記事は、2001年4月に『週刊アスキー』に載った『インターネットで作家になる方法』という記事でした。
これは、もともと『週刊アスキー』を購読していて読んだわけではなく、新聞広告だか吊り広告でこの記事があるのを見て、わざわざ雑誌を買ったのです。

その頃、私は、すでに『イルファーラン物語』の初稿を書き上げており、これをなんとかどこかで発表できないものかと、いろいろ考えていました。

普通なら、いわゆる同人誌として発表するとか、自費出版するという手がありますが、『イルファーラン物語』の場合、とにかくあまりにも長いので、経済的にも手間の面でも難しく、文芸同人に入って会誌に載せてもらうとか、新人賞に応募するのも、枚数制限のために難しかったのです。

で、オフラインの交流サークルの仲間に、プリントアウトしたものを郵送して読んで貰ったりしていましたが、せっかくだから、もっと広く発表したいなと思い、インターネットでなら紙代や印刷の手間がかからないから、あまりお金をかけずに作品を発表できるのではないかと思いつきました。

でも、どうやらインターネットで小説を発表している人たちがいるらしいというのは知っていても、その人たちが具体的にはどうやってそれをやっているのかも分からず、どこに行けばそういう人たちがいるのかも、分からなかったんですよね。

というのは、当時、私は、本の後書きに載っていた作家のHPや、手紙で教えてもらった友人のHPのURLを手で打ち込んで見にいったことが何度かある程度で、インターネットはほとんどやったことがなかったので、検索をするなんてことは思いつかなかったのです。

だから、当時はまだ、(まあ、いつか、そのうち検討してみよう)くらいに思っていたのでしたが、ちょうど、そんな時に、実にタイミングよくその雑誌広告に出会い、『渡りに船』とばかりに、それまで買ったことなどないパソコン雑誌を買って来たのでした。
(ちなみに、この雑誌は、今でも記念に取ってあります。)

その記事と言うのは見開き2ページの短いものではありますが、今見ても、これからインターネットで作品を発表してみようという人にとっては大変妥当で実用的な内容で、コンパクトながら中身の充実した、なかなか良い記事でした。

紹介されているサイトも、検索サイトならノベサと楽園など、ちゃんと、当時の定番だったところが紹介されており、小説サイトも、当時大人気だった(今は無き(T-T))『ゆずのこ文書館』という、作品の質と管理人さんの人当たりの良さと安定した運営を兼ね備えた、初心者に安心してお薦めできるところを紹介してくれていて、いきあたりばったりではなくちゃんと調べて選んだ形跡が感じられます。

で、先日も書いたとおり、この『ゆずのこ文書館』を訪れてみた私は、その作品に惚れ込み、掲示板の雰囲気も非常に良かったので思い切って書き込みをして、管理人のゆずささんに大変良くしてもらい、他の常連さんとも知り合ったりして、人伝い、リンク集伝いに芋づる式に世界を広げていったのでした。

相互リンク先の中でも、穂高さん、響子さん、櫻井水都さんあたりは、サイト開設前からのお付き合いです。
あ、ご本人覚えているかどうか分からないけど(何しろ三年前なので)、zeroさんとも、サイト開設前から響子さんちの掲示板でお話してました。あと、とみ〜さんも、たしか、ほぼ開設時からのお付き合いです。

オンライン小説サイトというものを知っての私の感想は、(こんな素晴らしい世界があったとは!)でした。

なにしろ、作品が素晴らしい。
実際に触れてみるまでは、素人がインターネットで発表している作品なんて、どうせ素人なんだからヘタなのが普通なんだろうと思っていたんですよ。
ところがどっこい。そりゃあ、素人臭いものもたくさんありますが、総じて予想以上にハイレベル。中にはどう見てもプロ級の人もいる。(これは私がそう思うだけでなく、実際、プロとしてデビューしてる人もいるんだから、その人たちは本当にプロ級だったわけです。)

しかも、決して上手くはない素人臭いものの中にも、下手なのになぜか妙に魅力があるものがいっぱいある。
これは、たぶん、みんな自分が本当に好きなもの、書きたいものを書いているからなのでしょう。溢れ出る愛と情熱が、作品に、人をひきつけるオーラを与えているのです。

そして、もう一つ、素晴らしかったのは、書き手と読み手、そして書き手同士の楽しい交流があったこと。
大好きな作品の作者さんと親しくお話できたり、同好の士と楽しく創作談義が出来るなんて、なんて素晴らしい!

あと、もう一つ、無名の素人である自分が小説サイトなんて作ってもどうせ誰も来やしないだろうと思ったら、オンライン小説の世界には、検索サイトやサイト同士の横のつながりがあって、ちゃんとお客様が来る仕組みがあったこと。これも素晴らしい!

ああ、こんなところにこんな素晴らしい世界があったなんて……!
『週刊アスキー』さん、こんな世界の在処を教えてくれてありがとう!

というわけで、すっかりオンライン小説にハマった私は、読者としてあちこちのサイトの作品を読み漁りながら、その一方で、そもそもの目的どおり自分もサイトを開設することを目指して、どんなサイトが見やすいかなどを実地に見聞して勉強し、自分の作りたいサイトのイメージを固めて、予定通り、3ヵ月ちょっとの後にサイトを開設しました。

ちなみに、うちのサイトの基本構造は、その時から全く変わっていません。
凝ったデザインよりも軽さと分かりやすさを重視、トップページがサイト案内を兼ねていて十分な情報が得られ、フレームメニューがあり、すべてのページにトップページへのリンクがあり、小説ページは『次へ・後へ・目次へ・トップへ』のリンクが上下二箇所にあって、スタイルシートで行間を開け、左右には十分なマージンを取ってあり、文字は小さすぎず、文字色は薄すぎず、背景はシンプル――それが、小説サイトの造りはどういうのが自分好みかについて、3ヶ月間あちこちのサイトを見てまわって私が出した結論で、それは今も変わっていないので。

開設当時のうちのサイトと来たら、ほとんど内容が無く、リンク集も工事中というものでしたが、それでも、ゆずささんをはじめ、既に知り合いなっていた小説サイトの管理人さんが何人もお祝いに駆けつけてくれ、その後も時々遊びに来ては掲示板の閑古鳥を追い払ってくれると言う、無名の新設サイトとしては非常に恵まれたスタートを切ることが出来たのでした。

……ああ、長かった(^_^;)
いえ、サイト開設当時から、そのうちオンライン小説界参入記を書き残しておこうと思ってたんですよ。3年越しで実現しました。


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