父の戸籍の全部事項証明書を見た。
父の出生地をインターネットの地図で調べた。 正直母も私も「いい場所だからそこに住んでいたらよかったのに」と思ったが、 もし父がそこにずっと住んでいたら、私たち家族は存在していないはずで、 ちょっと二人とも暑さで頭の回転が緩んでいるのかなと思った。 米軍基地が近くにあったようで、祖父の都合でそのあたりにいたのだと思う。
人手が欲しかった母は私を墓掃除に連行した。 父のことで手いっぱいで手がつかず、相当な汚れ具合だったが、 二人で熱中症寸前になるまで綺麗にした。 それでも完全には汚れが落ちず、母はまた掃除すると言って途中で切り上げた。
掃除の途中で父の同級生が通りかかり、思い出話をしてくれた。 帰る方向が一緒で二人で一緒に帰ったとか、 中学からはクラスが分かれて絡む度合いが減ったとか、 生前元気だったころの父の地域の活動など、 私達の知らない父の事を、こうして誰かが思い出してくれる事はとても有難かった。 私が死んだとして、私の友人知人が、父の時のように私を偲んでもらえるとは ちょっと想像できない。 父の人徳があったのだと思うし、本当に尊敬しかできない。 でも、その尊敬していることを本人に伝えることも、もうできない。
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