日日雑記
emi



 ニュルンベルク裁判

NHKBSで、先週からニュルンベルク裁判についてのドキュメンタリー番組を放送しています。
今日はルドルフ・ヘスへの回。


ナチの副総統として暗躍したヘスは、ユダヤ人虐殺が始まった頃にはすでにイギリスで拘束されていました。
連合国が裁判のため準備した、ナチの記録映画や解放後の強制収容所の様子を見せられ、自分が奉じたナチの蛮行の事実と迫り来る死刑宣告の恐怖に、彼は自我崩壊していったそうです。


子どもの頃読んだアンネ・フランクの伝記や様々な写真、資料で、収容所の地獄を垣間見たつもりでしたが、解放後撮影された大量の遺体、遺体、遺体……極限まで痩せこけ、裸にむかれた無数の遺体の山を、ブルドーザーで処理していく映像はこの世のものとは思えない光景でした。


その後ヘスは、ユダヤ人が催眠術や薬を使い、ナチ(=ドイツ国家の代表)を操ろうとした、その罪によって殺されなければならなかったと、証言したそうです。
結局、彼は戦争そのものに加担した期間が短かったことで、死刑は免れ終身刑となりました。判決後ドイツ国民に宛てた文書の中で、自分は次なる第四帝国の総統であると記し、正気と狂気の逆転した犯罪者は、皮肉なことに現在もネオナチのアイドルだそうです。



屈辱的なヴェルサイユ決議、共産主義者やユダヤに対する憎悪、極端なインフレで立ち行かない生活……そんな時、祖国を徹底的に擁護し優位性を唱えるスーパーヒーローの登場に熱狂する国民。
鋼の劇場版は、個人的にあの時代を再認識するきっかけになりました。


ただひとりの人間が、ただひとつの政党が、あの蛮行を操ったのではありません。
鬱屈した国民の圧倒的な後押しがあったことをこそ、心に刻む必要があると強く思います。








2007年08月21日(火)
初日 最新 目次 HOME


My追加