日日雑記
emi



 尼崎と下妻のヒトは怒らないんだろーか

嶽本野ばら『下妻物語』(小学館文庫)を読みました。
それまで野ばらさんの作品は、ボーダーすれすれにある主人公たちが自ら望んであっち側に転げ落ちてしまうような内容が多かったように思いますが、今回も表現はすっかりお笑いであっても、やはり少女たちはあっち側で構わないと潔く開き直っています。


女のコは自分では何一つ出来ない、靴下の履き方すら解らない方が、断然、キュートなのです。てきぱきと仕事も遊びもこなし、心身共に丈夫で、守られるより守る方が性にあっているような女性に私はなりたくありません。(中略)ヘタレと罵られようが、女の子はそれで良いのです。汚い現実になんて眼を逸らしていればいいのです。努力もせず、叶わぬ夢を見続け、何時かはでも、その夢が他力本願で叶うと思っていれば間違いないのです。


こう言い切る主人公・桃子ちゃんが、あたしは大好きです。生真面目なヤンキー・イチゴの正論にふりまわされつつも、彼女が寄せる信頼をウザいと思いながら受けとめつつも、結局はロココなロリータ魂を決して手離さない桃子ちゃんに敬意を表したいです。


ところで。
桃子ちゃんは生まれ故郷の兵庫県尼崎市を「尼崎の市外局番が何故か大阪06なのは、芦屋など高級住宅街のハイソなイメージで固めたい兵庫県が、出来ることならジャージ天国尼崎をガサツな大阪に押し付けたいためではないか」と推測し、引越し先の茨城県下妻市は「卒倒してしまいたくなる程の田舎町」と断罪します。
もちろん、愛ある(ないのか?)言説とは思いますが、もしかしてマジで怒り出すひとたちがいるんじゃないかと、ちょっと心配になりました。






2006年07月10日(月)
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