日日雑記
emi



 文庫版『天然理科少年』

単行本を持っているにも関わらず、長野まゆみの最新文庫本『天然理科少年』を買ってしまいました。だって表紙のお人形が、あたしの耳元に「……ねぇ、理科好きだっただろ?」とか呟き続けるんですもん!

単行本ではモノクロページだった解説が、文庫では美しいカラー写真になっています。長野さんご本人がどれくらい装丁に関わっているのか分からないけど、毎回大層な凝り様で、内容もさることながら一冊の本という「物体の魅力」に感動します。

長野さんの作品を読んでいると、宮沢賢治の直系だなあといつも思います。もうひとつ大好きなクラフト・エヴィング商會は稲垣足穂の直系。そして両者に共通なのは現代のプリニウスだということ。

プリニウスは古代ローマの学者で『博物学』という有名な著作があります。
長野さんもクラフト・エヴィング商會も、クリエイターというポジショニングで混沌とした中から光るものを見つけ出し、再構築して美しく磨き上げ陳列する作業に日夜励んでいるように思えるのです。

光るものを発見できる感性こそが、前日の日記にある「日常的に不平不満を垂れ流す」ことの対極であり、彼等はいつも寡黙でひとり過程を楽しみ、結果だけをそっと披露してくれます。

心が尖ってザワつくときは、静かな博物館へでかけましょう。




2005年08月16日(火)
初日 最新 目次 HOME


My追加