恒例、年に二度の学科慰安旅行(しかし自費だ)。 今回はイタリアの方角にあるI半島を巡る。
マイクロバスが予約でいっぱいだったということで、 大学前に待っていたのは、 40人は乗れようかという大型バスだった。 学科旅行でバス。 前回無謀運転でむち打ちの憂き目を見たコージ苑は、 以来この組み合わせに警戒心を覚えずにはいられないのだが、 今回の運転手さんは穏やかそうな人だし、 何より大型バスゆえに頭をぶつけるべき天井が高いので、 くつろいで乗ることが出来た。
高速をぬけて、第一の目的地にたどり着くかと思ったとき、 中国学科のM教授が運転手さんに耳打ち。 そしていきなり左折して、 未舗装の急な坂道を下り始めるバス。 ちょっとどこに行くのよ。 トイレならもうちょっと我慢なさいっ!←教授に超失礼
教授の説明によると、 昔の教え子がこのあたりに住んでいるらしい。 「寒いから彼んちでコーヒー飲もうよ」と言う。
…20人近くがアポなしでコーヒー…
コージ苑、日本の大学でた日本人でよかった…
大型バスの突然の出現に、 静かな山間の村の人たちは驚いて振り返り、 犬は興奮してほえまくる。 そしてお目当ての「昔の教え子」は留守だった。 もう笑うしかない。笑えみんな。
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思わぬ寄り道をしてしまった一同が次に目ざすのは、 15世紀だったか、そのあたりの教会。 当時の壁画がそのまま保存されているそうだ。
到着してみると、 見渡す限り背の高い建築物がない丘陵地帯に、 ぽつんと一つだけ建つ教会と、 その周りを囲む石造りの壁。 いわゆる城塞のようなつくりをしているのだ。
そしてここも、門扉は閉ざされ、人の気配が無い。 ここまで来てそりゃないよぅ、と、 囚人よろしく柵を両手で掴んで空しく中をのぞいていると、 「見学者は電話してね」という張り紙発見。 ベケ教授が早速電話してみると、 5分でいくから、という返事であった。
「ごめんね、掃除してて電話の音が聞こえなかったのよ」 やってきた管理人のおばちゃんは、 笑いながらそう言った。 確かに、いつ来るか分らない観光客を何もせずに待つよりも、 家事をしたほうが何倍も建設的だろう。 彼女に鍵を開けてもらって、 無事に中へ入ることができた。
内部は色の洪水だった。 正直、古い時代の壁画というので、 朱色があせ、人物の輪郭も不明瞭なのを思い浮かべていたが、 これは花々や草木の色から、 描かれている人々の表情までがよくわかる。 絵の下にかかれている古代キリル文字の断片まで見られた。
どうしてここまでよく保存されていたかというと、 それは「漆喰」のせいであったとか。 今の時代にしてみれば貴重な文化財である壁画も、 昔々の人にとっては、 「新しくてきれいな壁」、 あるいは「光がたっぷり入る窓」以上の価値をもたなかったのだ。 窓のせいで壁画の一部は失われたが、 漆喰のおかげで色彩はあせることなく、 現在までその姿をとどめることができた。 世の中、何が幸いするかわからない。
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ということ(どんなことだ)で、 以下次号(笑)
だらだら長すぎるんだよね、コージ苑の文章…
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