BENJAMIN TREE
kouya



 更地・・・

ばばちゃんの家があった通りを、意識して避けていた。
家が取り壊されて土が均されているのを見たくなかったから。
でも今日は、ふと無意識に入り込んでしまったその通り。
見えない振りして通り過ぎてしまおうと思っていたのだけれど。
古びた木の塀すらもなくなってしまって、見たくなくても視界に入る・・・
その区画だけがまるで切り取られてしまったように何もない。
草も生えていない地面がわずかな雨を吸って真っ黒になっていた。

でも、以前のように涙が出るほどの動揺はしなかった。

あぁ、こうやって忘れていくのかな、と思った。

けど、こうやって書いていると少し、目の前が滲む。

忘れたくないもの、無くしたくない物をいかにして守っていけばいいんだろう?
変わって欲しくないものを守りきる事は難しくて。

気がつけばどんどん変わって行く。
どうにかして、そのままのものを守っていきたいんだけれど。

2005年03月17日(木)
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