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■ 夜の街で爪を切る男
ついさっき、いつもはこんな時間に通らないパルコの裏通りを ショートカッツして帰ってきた。
足早に通りを進むと、暗闇から「パッチン、パッチン」と聞き慣れぬ音が響く。 周囲が高い建物で覆われた場所だけに、音が響くんだな、これが。
闇の中、目を凝らして見つめると、背広の上着をだらしなく脱ぎ捨てた 青シャツの男が、立ったまま真剣に爪を切っている。 しっかりと爪切りを握って、パッチン、パッチンと。
子供の頃、夜に爪を切ると親が早死にするから、日が暮れてから 爪を切っちゃダメだよ、と祖母に教えられた。 その迷信がなにやら子供心に恐ろしくて、今でも夜に爪を切るのは勇気がいる。 なのに、この男は大胆にも夜の闇の中で爪を切っているではないか。 これが「呪いの爪切り」だとしたら、なにやら背筋が凍る思いでした。
2001年04月02日(月)
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