月のシズク
mamico



 あたかもそれは一瞬芸

夜の10時頃、ちんたらと吉祥寺通りを北に向かって歩いてたら、
ふたりの婦人警官が慌ただしく交通整理をしている。
ふと通りの向こうをみると、今まさに、2台の車がレッカーされるところだった。

赤信号で交通が止まっている間に、ちゃっちゃと作業を始める。
作業着の男たちがふたり一組でレッカーに取りかかる。
ジャッキでシャッシャと後輪を上げ、荷車みたいなものに乗せる。
あんなに大きな車を「せーの、よいしょ」と持ち上げ、車の両車輪を固定すると、
男Aは素早くレッカー車に乗り込み器用にバックしてくる。
その間、男Bは車が半身乗った荷車をひとりで引っ張る。(おいおい動いてるよ)
カッシャンとレッカー車に接続が終わると、動き出した車にひょいと男Bが飛び乗り、
信号が青に変わると同時にどこかえ消えてゆく。

婦人警官たちは、駐車されていたところへ白いチョークで連絡先を書きなぐる。
てきぱきと無駄のない動き。それにすごいスピード感。
見ていて気持ちがいいくらいだ。

ふたたび信号が赤になるのを待って、私はバカみたいにもう一台が
レッカーされる光景を眺める。

ほんと、ぱちぱちと拍手を送りたいくらいに見事でした。
そこには持ち主に対する同情の余地など、まったくないのだけれど。




2001年03月30日(金)
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