月のシズク
mamico



 あたかも、春の夜のように

雨が降る前だからだろうか。
空気がとてもなまぬるく、まるで桜の咲く夜みたいだ。

コートのボタンをひとつ外して、自転車に乗った。
風がぜんぜん冷たくない。ちょっと湿気をおびて、ぬるいかんじ。
どこに隠れていたのか、近所の猫たちもちらほら姿を現す。
まだ冬毛で全身がボンボンにふくれているけれど、
気持ちよさそうに毛繕いしている。

夜の闇に咲く、白い桜の木を想像する。
そう思っただけで、私の心はわずかに狂い出す。





2001年02月28日(水)
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