『たけぐせの随・弐』
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「人間というのは不思議なもので、 自分達のやってることが、 ひとつのちからとなって高められてくると、 前後が見なくなり、 わけもなくその坩堝のなかに入り込んでしまうものです。 そんなときに、これは危うい、と感じる人はごくまれです。 それがわかる人は、やがて、 人間のまいにちのごく平凡な生活に目を戻し、 あの坩堝は危うかった、と歩いて来た道をふりかえるものです。」
立原正秋『きぬた』より抜粋
気づくか、気付かぬか。 感じるか、感じられぬか。
そして、戻れるか、戻れぬか。
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