ムッキーの初老日記
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先日、中学からの友人達と会ってお茶を飲んだ時に その中のひとり、リカ(仮名)から、とても心揺さぶられる話を聞いた。
私自身ははよく知らないのだけれど リカの中学からの友人、ハルミちゃん(仮名)の初恋の話。
ハルミちゃんの初恋は中学校の時の社会科の太田先生(仮名)で 本当に好きで好きで、先生の授業を誰よりも理解したいと思い 一生懸命勉強をしただけでなく、社会科に興味を持ち、好きになり ついには自分も、太田先生と同じ、中学の社会科の教師になったのだと言う。
太田先生は、中二の時に転勤してしまったけれど それからもずっとずっと先生が好きで、忘れられず ついには自分も同じ先生になったのだと・・・
ハルミちゃんは先生が転勤してからも、年賀状を欠かさず 教員試験に受かった時には、転勤後初めて先生と再会して お祝いのランチをご馳走になったそうだ。
もちろん、それだけだ。 太田先生はとっくにご結婚なさっていたし、ハルミちゃんだって彼がいた。 なにもない。ないからこそ、本当に嬉しい、喜ばしい再会であったろう。
そしてハルミちゃんも結婚し、今では初老になり 太田先生はもうすぐ定年を迎えるお年だと言う。
「でもね、今でも毎日のように先生のことを思い出すの。まだ忘れられないの」
と、ハルミちゃんはリカに言ったそうだ。 私は「そうかあ」と言いながら聞いていたけれど 内心は泣き出しそうだった。
なんて素敵な初恋なんだろう。
こんな美しい初恋が、忘れられるわけがないじゃないか。 一途に好きになり、自分の一生の職業まで決めた初恋。 毎年の年賀状のやりとり。お祝いのランチ。 そして今でも先生を忘れないと、笑顔で話すハルミちゃん。
一生の宝物だね、ハルミちゃん。 私は顔もよく知らないハルミちゃんに
「わかるよ、わかるわかる」
と、メールが打ちたくなるほど共感した。
「ところで太田先生ってどんな顔だっけ?」
「うーん、よく覚えてないね」
「確か、少し長めのリーゼントぽくなかった?」
「えー。そうかねえ?まだ当時25前後だったね?」
「うんうん、確か女子が数人キャーキャー言ってたような気がするよ」
その時リカが私に
「太田先生って、ちょっと○さん(私の初恋の人)に似てなかった?」
と言った。いつもならこんなことを言われたら動揺してしまうのに、この日は
「えーっ!似てないって!似てたら私も惚れてたよぅ( ^∀^)ゲラゲラ」
と、冗談が言えた。
私も、未だに初恋を忘れていない女の一人だ。 今でも思い出しますよ、もちろん。 でもね、いまさらどうこうじゃないんですよ。 ふと何かの折に思い出し、元気でいてくれたらなあって。 そう思える自分が、愛しいんですよ。 ねえ?ハルミちゃん。そうだよね。
忘れなくていいよハルミちゃん。 太田先生との想い出は、貴女の心の一番良い場所に 綺麗に飾って、いつまでも大切に眺めていてください。 貴女の初恋のいた場所を、忘れないでください。
私は、帰りの車の中で、ハルミちゃんの話を思い出してちょっと泣いた。
※「初恋のいた場所」海援隊 いい歌だねこれ、詩人だね鉄矢。
+・+・+ 南総里見オッサン君 +・+・+
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ムッキー
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