ムッキーの初老日記
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2005年07月09日(土) |
頑張れ50代シリーズ【1】布施 明 |
先日の日記で「思い入れのある曲またはアルバム5枚挙げよ」と言うのに答えたのだが 書き始めたら、ちょっと5枚には収まり切れないことが判明したため これはシリーズ化して、これからたまに書いていこうと思う。 題して「頑張れ50代」シリーズ! 好きなアーティストの中からまずは50代の方々を選び、紹介していきたい。
記念すべき第一回は先日「布施王」に登場した布施明氏。
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当たり前の事だが、今流行の歌だけが歌ではない。 同じく、今流行歌手だけが、歌手ではない。 ヒットチャートには上がって来なくとも、素晴らしい魅力を持った歌手達が大勢いる。
布施明はその典型といえる。
彼の歌唱力は子供の頃からすごいと思っていたが 「お、この人はただ者ではない」とハッキリ認識したのは5、6年前だった。 なんの番組かは忘れたが、布施明が当時売れていた誰だかの歌を歌った。 これがもうメチャうまい! これが同じ歌か?と疑うほど、オリジナルとは違って聴こえた。 歌い手が違うと、歌とはこんなに変わるものかととても驚いた。
だが本当にすごかったのはその後である。 司会者が布施明に「素晴らしいですね」とかなんとか言った時、 彼は「まだまだ全然ダメだ」と苦笑いをしたのだ。
「昨日楽譜をもらって、何度も歌いこんだが、まだ歌詞の半分も理解していない。 もっと時間をかけて、歌詞を十分理解したら、もっと心を込めて歌えたのに。」
細部は忘れてしまったが、こういう意味の事を彼は言ったのだ。 あれで!?あれでまだまだダメだというのか? それもコンサートでもレコーディングでもない、TVの歌番組のワンコーナーで ちょろっと歌うだけの歌なのに、それでも彼はもっと心を込めたかったと言ったのだ。
私は布施明のバタ臭い彫りの深すぎる横顔に、プロ根性を見た。
その後「ベスト版好き」の私は、早速「布施明ベスト」を入手、 折に触れその歌唱力を堪能し、現在に至る。
先日、何気なく回したTVで、布施明が「マイ・ウェイ」を歌っていた。 Def Techのではない。シナトラの日本語カバーだ。
この歌は難しい。 下手な歌手と、会社の上司(in飲み会)が歌ってはいけない禁断の歌だ。
歌う時、最後の言葉が「い行」の歌は難しい。 どんなうまい歌手でも、大概はつぶれてしまうのだ。 だから皆ハッキリ発音せず、声を小さくしたり、い行とえ行の中間のような発声をしたり 堂々とつぶれたままそれを個性として歌う人もいる。 それもありだ。だが布施明のような歌い手にはそれは通用しない。
マイ・ウェイのラストは「い行」
すべては 心の 決めた ままに
さあどうだ。布施明は、この難関「に」をどう歌う? 私は固唾を呑んでその時を見守った。
果たして彼は堂々と歌いきったのである! 堂々と、朗々と、全くつぶれることなく。
ああああ、布施明!素晴らしい〜! 彼のような人を「歌手」というのだ!
昨年、デビュー40周年の記念曲に布施明が選んだのは 私の愛する松山千春作詞作曲の「自由」と言う歌だった。 これはチーちゃまのアルバムの中の一曲だが、 この曲の楽譜を見た時、とても気に入り、どうしてもこの曲を 40周年の記念曲として発表したかったのだと布施氏は語っていた。
その時インタビューにこたえたチーちゃまが言っていた。
「今の芸能界2流3流の歌手ばかりの中、 私と布施さんぐらいなもんですよ!超一流といえるのは!」
チーちゃまは確かにすごい。だから愛している。 だが、ハッキリ言って「歌唱力」という点からだけ見た場合 チーちゃまでも布施明には敵わない。
布施明。 その声でドラマティックな世界を織り上げる、歌手の中の歌手。
+・+・+オッサン君のメロディー+・+・+
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ムッキー
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