ムッキーの初老日記
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小6から高校卒業までの7年間を 私は茨城県でも屈指の、言葉の荒い地方で過ごした。
それまでは茨城県でも少し都市部に住んでいたので 初めはあまりの言葉の違いに戸惑ったものだった。
転校して何日目かに、隣の席の子が言った。
「ムッキーちゃん、これ、だすから。」
え?なに?だすって、だすって・・・(゚◇゚;)!? どうもそれは「あげる」と言う意味らしかった。 彼女は、私に可愛いメモ紙をくれようとしていたのだ。
その他にも 「おまえ」は「イシ」 「嘘」は「ちぐ」 「嘘をつく」は「ちぐをぬぐ」
など、初めて聞く単語がたくさんあった。 ちなみに上の単語を合わせると
「いしゃーこの、ちぐぬぐな!」(お前この野郎嘘つくんじゃない!)
となる。異国語である。 じゃあ中条きよしの「嘘」は「ちぐ」か。
♪折ーれた ターバコの 吸殻でぇー 貴方のちぐがわかるのよ♪
だが、子供は環境にすぐ適応するもので 中学になる頃には、私もすっかり「この土地の子供」だった。 そして更にまずい事に、その後私は 地元の女子高(現在は共学)に進学した。
女子高は、すごい。もう何でもありだ。 女性ばかりだと、女らしい生徒とボーイッシュな生徒がハッキリする。 そして、ボーイッシュななかには「バンカラ」(死語)なやつが多数いる。 その子達は、自分の事を 俺 と呼ぶのだ。
俺・・・。
+++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++++ おれ【×俺・▽己・乃=公】 [代]一人称の人代名詞。元来、男女の別なく用いたが 現代では、男子が同輩または目下に対して用いる。
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年配の女性が自分を「オレ」と言うのは聞いたことがある。 だがこの高校では、女子高生が自分を「俺」と呼ぶ。 現代では男子の一人称代名詞になっている「俺」と・・・ ものすごいカルチャーショックであった。
だが、お察しの通り、私もあっという間にこれに染まり 自分を「俺」と呼ぶクセがついてしまった。 一旦付いたこのクセを矯正するのは大変だった。
就職してから、会社のトイレで同じ高校から入社した子とばったり会って
「どうよ、もう慣れた?」 「いやーなかなか。あんたは?」 「俺か、俺もまだだなあ」 「俺もだー」
なんて日常会話をしていたら、個室にいた先輩に聞かれ 「今年の新人は怖い。」と震え上がられてしまった。
普段どんなに気をつけていても、高校の時の同窓生に会うと 今でもつい「俺」がでてしまう。
やはり一番多感な青春時代を あの町で過ごしたせいか。
だが、この町の男らしい言葉には「俺」がよく似合う。
◇◆ご存知オッサン君◇◆
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ムッキー
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