ムッキーの初老日記
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私は数年前まで、或る会社の受付兼電話オペレーターの仕事をしていた。
通常業務は月〜金だが、土曜も一般見学者のために会社を開放しており、
いつもは二人でやる受付業務を、隔週交代で終日一人でこなすことになる。
仕事自体は平日に比べれば暇なのだが、終日拘束されるので結構しんどい。
弁当も受付を気にしながら陰に隠れてこそこそと、10分位で食べるのだ。
その日は私の土曜出勤日。私はあろうことかその弁当を忘れてしまった!
弁当くらいと言うことなかれ。土曜は普通業務の人は全員休みで
技術職と現場の人しか出勤していない。つまり交代要員は誰もいない。
外には買いに行けない。買いに行っても貰えない。
陸の孤島、土曜の受付・・・・。
いつも美味しいお菓子を差し入れてくれる総務も経理も今日は誰もいない。
こんな時に限って朝食も食べて来なかった。私の空腹は極限状態。
ムッキーピンチ、このまま5時まで何も食べずに過ごすのか!?
その時ジュースの自動販売機が目に入った。
そうだ、ジュースを飲んで飢えをしのごう!財布を見ると小銭は170円。
札は使えない販売機なので、1本しか買えない。
慎重に考えて、私はコーラをチョイスした。これなら炭酸で腹が膨れる!
そして誰も来ないのを見計らってコーラを一気に飲み干した。
美味しい・・・! 空腹だとコーラまでもこんなに美味しい。
すぐに計画通り炭酸効果で空腹が満たされた。ああ助かった。
ビバ!コーラ!これで終業時間まで乗り切るぞ!と思ったその時。
ゲーーフ! しゅるるるる・・・
笑った拍子にゲップが出て、膨れたはずの腹は一気にしぼんでしまった。
炭酸での嘘っぱちの満腹感は、ゲップと共に去りぬ。
こんなことにも考えが及ばなかったとは。空腹は人を狂わす。
ただ呆然と座りつくすのみの土曜の午後だった。
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