2004年05月02日(日) |
探偵伯爵と僕 His name is Earl/森博嗣 |
++ 夏休み直前、新太は公園で出会った、夏というのに黒いスーツ姿の探偵伯爵と友達になった。奇矯な言動をとるアールと名のる探偵に新太は興味津々だ。そんな新太の親友ハリィが夏祭りの夜に、その数日後には、さらに新太の親友ガマが行方不明に。彼らは新太とともに秘密基地を作った仲間だった。二つの事件に共通するのは残されたトランプ。そしてついに新太に忍びよる犯人の影!(カヴァ裏より) ++ ミステリーランド創刊からずっと待っていた森氏の本。しかも挿絵は山田章博氏です。 このコンビを見ることができるなんて…、文章も絵も美しく感激。 子ども向けと思えないほど、言葉遊びな部分が多かったように思いますが、この本を手にとるような子どもはきっとこういう文章もちゃんと読みこなせるに違いないとも思います。 お話は、こんなにあっさりとハリィとガマが殺されてしまってもいいのか?と感じましたが、森氏的に、本来殺人はそういう理不尽不条理なものだといいたかったのかな、とも。 なにはともあれ、ラスト2ページでなんとなくしっくりこなかった原因がなんなのか、わかります。 「僕」について年齢がはっきり記述されている部分はなかったと思うのですが、おそらく小学校高学年ではないかと。その「僕」が一人称のこの話、まさか「僕」の体験に基づく「僕」の書いた小説だなんて…。 違和感があるはずです。それ自体がトリックのようでした。
一番大事なことは、きっと、自分の命を守るということで、その次に大事なことは、できるだけ沢山の人の命を大事にすることだと思う。 人が人を殺すことは、悪いことというよりは、嫌なことだ。 悪いことだからしないのではなくて、嫌なことだからしたくないのだ。 僕には、そういうふうに思える。
森博嗣:探偵伯爵と僕 His name is Earl,p.334-335,講談社.
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