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2003年08月20日(水)   グッドラック 戦闘妖精・雪風/神林長平


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突如、地球への侵攻を開始した未知の異星体ジャム。これに対峙すべく人類は実戦組織FAFをフェアリィ星に派遣、特殊戦第五飛行戦隊に所属する深井零もまた、戦術戦闘電子偵察機・雪風とともに熾烈な戦闘の日々を送っていた。だが、作戦行動中に被弾した雪風は、零を機外へと射出、自己のデータを最新鋭機へと転送する――もはや人間は必要ないと判断したかのように。(裏表紙より抜粋)
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わりと読み返さずに前へ前へ読み進むタイプの私には珍しく、何度も戻ったり、本を閉じて反芻したりしながら読みました。
<改>のときに感じた、零と雪風(人間と機械)の相克のような関係は、本当に読んでいて苦しく、不安にさせられました。ストーリィの中だけでなく、機械はいつか独自の意識や知性を持ち、人間は機械から必要とされなくなり、排除されていくのかもしれない、と感じたのです。
それが、今回は救われました。
<改>の終わり方から、どうしてもいい方向にこの関係は進まないだろうと思っていたから。
たとえ、機械が意識・知性を持つようになっても、それが人間を侵すものではないし、むしろ互いに補完(この言葉ってアレを連想しますよね)し合うことのできる関係になれるのだと…。
今回のラストシーンで零と雪風は出撃していくわけですが、その続きが、ジャムとの闘いの結末が読みたいです。切に続編を。



「雪風と深井大尉は、互いに自己の一部なのだ、ということ。互いに自分の手足であり、目なのよ。二つの、異なる世界認識用の情報処理システムを持っていて、互いにそれをサブシステムとして使うことができる、新種の複合生命体。これは人間ではないし、機械でもない。他者と認めつつ、それはまた自己の一部でもあると意識するのは、人間にとってはさほど珍しい現象ではない。高度な意識作用だわ。」(p.479-481より抜粋)


神林長平:グッドラック 戦闘妖精・雪風,p.479-481,早川書房.






ゆそか