2003年02月04日(火) |
GOTH リストカット事件/乙一 |
予告どおり手を出してしまった乙一氏の連作短編ハードカヴァ。 この本は、 “このミス2003”をはじめ、いろんなとこで大絶賛されてますが、評判以上のおもしろさでした。 これまで読んだことのある作家さんの中で、短編の魅力は乙一氏がダントツですね。 “僕”とそのクラスメイト森野夜の周囲におこる猟奇的な事件。 女性バラバラ殺人事件の「暗黒系」、手首切断蒐集の「リストカット事件」、犬が噛み殺される「犬」、森野の過去「記憶」、棺桶に閉じ込め生き埋めにする「土」、殺された姉の声を求める「声」。 この本では、猟奇的な殺人事件を犯す人間は、生まれついてそういう性質をもっている、として描かれているのですが、各話に登場する犯人よりも、むしろ“僕”の方が怖いです。 淡々と語られ、騙られます。きっと最後まで展開は読めないでしょう。
愛情ではありません、これは執着というのですよ(「声」)
乙一:GOTH リストカット事件,p.319,角川書店.
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