4つのホラー短編、「石ノ目」「はじめ」「BLUE」「平面いぬ。」が収録されています。 どれもホラーだけど切ない。 その目で人と目が合ってしまうと、その人を石に変えてしまう石ノ目。 耕平と淳男の想像が生み出した女の子はじめ。 青い残り布で作られたできそこないの人形BLUE。 左上腕に掘られた刺青の犬ポッキー。 いちばん好きな話は「はじめ」かな。 実体がなくても、他の人から見えなくても、誰かにとってだけ存在している、見えているってものが、実はけっこうあるんじゃないかな、と思いました。 たとえば、亡くなったひととかも。 誰かの想い出の中ではずっと存在しているし、いつか目に見えることがあったとしても、そんなに不思議なことではないのかもしれません。
私は急に気付いた。 なぜ八年間もはじめが消えなかったのか。それは、消えたくなかったからなんだ。(「はじめ」)
乙一:石ノ目,p.152,集英社.
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