A Will
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2006年05月03日(水) 依存症。

子供が泣くのは知ってるからだよ。

唇を尖らせて、あの人は言った。
何を?とわたしは聞いたような気がする。

何を知ってるの?

庇護者が自分のそばにいること。



泣くのをバカバカしいと思ってた。
泣いたって変わらない現実と、
泣くことでしか表現できなかった自分自身と、

どうしようもなくバカバカしくて、だから泣きたくなんてなかった。





家族の死を神様に願いながら眠りについたことのあるわたしを、
現実に殺すために包丁を握ったことのあるわたしを、

あの人は、軽蔑に値すると、笑って言った。


『俺が欲しいって思ってるものを、壊したいって思うお前ってすげー』

分かり合えることはない、と言われる。
分かり合えちゃダメだ、とも。



愛せない、とわたしは泣いたんだと思う。
どうしても愛せないと思って、どうしてもいなくなってほしくて、

それがどうしても悲しかった。


どうしようもなかった。




愛せないことは、悪いことじゃないよ。


紛れもない優しさが声になって響いて、
ただ、安心をした。

分かり合えることはなくても。
同じ気持ちの子供がここにもう一人いた。


嬉しかった。






愛せなくても大切にはできるでしょ。

あの人の弟が、同じようなこと言って笑ったの。
まったく兄弟ね。似てるのね。



掬い上げられる感覚。






最近はまた泣いてない。けれど。
もう殺したいなんて思ってない。

痛みも、何もかも。







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