A Will
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2005年07月13日(水) |
惚れ続けるなんて簡単でしょ、と彼は笑った。電話越しに。 |
お前、まだそんなこと言ってるの?
多分、彼はそう言って電話を今すぐにでも切りたかったんだと思う。 出来なかったのは、わたしが切られた後に掛け直すような人間じゃないって 知ってるからだ。切ったら、その時点で終わる。色々なものが。
何でもいいからおいで。
おいで、などと彼は実に軽々しく言葉にする。 彼の言葉はその場その場でいちいち的確すぎる。
彼はわたしを許しもしないし責めることもない。
ただ、優しげに目元を歪めるんだ。 ひずんだような、そんな感じ。
言葉を噤んだりしない彼らしい方法で、 わたしはうっかり救われたり助けられたり守られたりする。
どちらかといえば、傷つくことを期待してたわたしを あっさりと変更させてしまえる、その機敏さを時々恨みたくなる。
ひかり輝かしい。 時々こっそり陰気臭いところまで、すっかりわたしは安心できてしまう。
本当に限りなく反則。
好き、といつか零れ落ちる日が来るのだろう。
そうしたら、本当に何もかもおしまいなのに。 そんなことちっとも望んでやしないのに。
そう遠くない、いつかに、わたしはうっかりと、けれど計画的に、 その一言を溢す日を夢見てるような気さえする。
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